2004年1月25日(日)「しんぶん赤旗」
国会は今週、自衛隊のイラク派兵承認案が審議入りします。政府・与党は週内に衆院を通過させる構えで、早くも重大なヤマ場を迎えます。
政府は、二十六日昼に小泉純一郎首相が神崎武法代表と会談し、陸上自衛隊本隊の派遣方針を最終確認。石破茂防衛庁長官が同日にも派遣命令を出す予定です。
イラク派兵承認案は、二十七日に衆院本会議で趣旨説明と質疑がおこなわれます。これを受けて与党側はただちにイラク特別委で審議入りするよう主張しています。
野党側は、歴史的な重大問題であり、徹底審議が必要だと主張。派遣先の治安状況を調査してきたという陸自先遣隊員や外務省職員を出席させて調査内容をただすことがまず必要だとしています。
与党側がこれに応じないため、特別委でどのような形で審議入りするかは決まっていません。
「(イラク特別委で)二十九日の採決を目指す。来週後半は禁足としたい」。自民党の中川秀直国対委員長は二十三日の党役員連絡会でこう提案しました。特別委で派兵承認案を採決したら、いつでも衆院本会議を開いて採決する考えを示したものです。与党は三十日にも衆院通過をねらっています。
二月一日に小泉首相が出席して北海道旭川市で開かれる陸自の部隊編成完結式を控えていることも背景にあります。
しかし、イラク派兵が具体化するにつれて占領支配に加担する自衛隊派兵の本質がますます明らかになってきています。
日本共産党の志位和夫委員長の代表質問(二十二日)は、イラク派兵が侵略戦争に加担し、占領支配に合流するもので、憲法を壊し、平和を求める世界の流れに逆行する歴史的暴挙であることを浮き彫りにしました。小泉首相は具体的指摘にまともに答えられず「憲法違反ではない」とおうむ返しにするだけでした。
世論調査で半数を占める派兵反対の国民の声も、自民・公明の与党などを揺さぶっています。
二十日の自民党総務会では、「戦闘地域と非戦闘地域の区別がはっきりしない」などの意見が出ました。これにたいし、本会議採決で賛成に回らない議員が出たら処分するよう求める意見が出て、ぶつかりあう場面も。それだけに与党は締め付けを強めながら、一日も早く成立させようとしています。
イラク占領を支える「イラク復興支援」費約千二百億円などを盛り込んだ二〇〇三年度補正予算案審議のため、二十六日に衆院予算委員会で小泉純一郎首相と全閣僚が出席して総括質疑がおこなわれます。日本共産党からは、穀田恵二国対委員長が質問に立ちます。
予算委員会の日程は二十六日の後は与野党間で何も合意していません。与党側は「二十六、二十七日と審議を行い、質疑終局まで進めたい」(自民・中川国対委員長)と短時間の審議にとどめ、派兵承認案と一体で衆院通過を図ろうとしています。