2004年1月27日(火)「しんぶん赤旗」
公明党は二十六日、イラクへの陸上自衛隊本隊の派兵を了承しました。武装した地上軍が占領支配の一翼を担う歴史的暴挙の後押しです。同党は、国民向けに「自衛隊派遣には慎重の上にも慎重を」という姿勢を印象づけようとしてきました。しかし、結局は同党の“慎重”姿勢なるものは国民だましの言葉遊びにすぎなかったことを示しました。
今回の本隊派兵の了承は、八日に決定した陸自先遣隊派兵の場合とまったく同じで、「慎重の上にも慎重」と繰り返しながらセレモニーを重ねるだけ。“はじめに派兵容認ありき”というのが同党の本音でした。
神崎武法代表が昨年十二月に行った「サマワ視察」で自衛隊派兵にレールを敷いた公明党は、役員会、拡大中央幹事会、自民党幹事長との会談などを重ねましたが、「政府も慎重にやっていると思う」(冬柴鉄三幹事長、六日)と政府の決定を追認するだけでした。そのときは「(了承したのは)あくまで先遣隊についての判断。本隊にかんしては先遣隊の調査報告を党首会談で聞いてから改めて判断する」(冬柴氏)と言い逃れようとしましたが、これがいかに詭弁(きべん)かは、国会運営や国会質問でも浮き彫りになりました。
先遣隊の調査報告がまだない段階で、公明・自民両党は本隊を含むイラク派兵承認案の審議入りを主張。小泉首相には、「国際社会の一員として支援する責務があるのは当然だ」(神崎代表、二十二日の衆院本会議)、「自衛隊の活動のニーズは高い」(浜四津敏子代表代行、二十三日の参院本会議)とイラク派兵を積極的に後押ししたのです。
しかも、わずか実質一日半の先遣隊調査の報告を「疑問点はない」とあっさり容認。二十四日夜には早々と事実上、了承したのです。占領は、戦争状態の継続です。米英軍が占領支配するイラクへの自衛隊派兵は、占領への加担そのものです。
サマワという局地の治安がどうかという問題だけにわい小化して、占領への加担という憲法問題をまともに吟味することなく派兵を容認するという公明党の責任は歴史的にも重大です。
本隊派兵の後押し役となった公明党が強調しているのが、自衛隊の活動を「人道復興支援であり、戦争や戦闘を目的とするものでない」(浜四津代表代行、同前)とする、小泉首相とまったく同じ言い分です。
「人道復興支援」といっても、自衛隊の任務には、占領軍への軍事支援である「安全確保支援活動」も含まれます。イラクを占領する連合国暫定当局(CPA)が日本政府に提出した書簡で、占領軍の一員としての法的地位を持つことが認定されています。占領軍司令部も本紙の問い合わせに、陸自が「第七連合統合任務軍の指揮下に入る」と認めました。法的にも実態的にも、派兵される自衛隊は占領支配の一翼を担うことになるのです。
国際社会の人道支援の最大の障害になっているのが、占領統治です。占領軍による「掃討作戦」はイラク国民の怒りと憎しみを広げ、テロと暴力の根本原因となっているのです。NGO関係者が「占領と人道支援は両立しない」と訴えているのもそのためです。
自衛隊派兵で無法な戦争・占領に加担しながら、「人道復興だ」とごまかす公明党の責任は重大です。(高)