2004年1月27日(火)「しんぶん赤旗」
政府がイラク派兵を強行しようとするもとで、あらためてイラク戦争の「大義」という根本問題が問われている─日本共産党の穀田恵二議員は二十六日の衆院予算委員会で、小泉純一郎首相に迫りました。
穀田氏は、昨年三月のイラク戦争開戦に際して、小泉首相が「イラクが大量破壊兵器を保有している」と断言し、戦争支持の最大の「理由」としたことを追及しました。
穀田氏が示したのは、イラクでの大量破壊兵器調査の責任者であった米中央情報局（ＣＩＡ）特別顧問のデビッド・ケイ氏の発言です。
ケイ氏は「イラクに大規模な兵器生産があったという物理的証拠は見つからなかった」「もともと存在しなかった」と明言しています。
小泉首相はメールマガジンで「イラクが大量破壊兵器を持っており、フセイン政権がこれらの兵器を廃棄する意思がない以上放置できない」とのべ、攻撃を支持していました。
穀田 ケイ氏の発言は総理の言明を根本からくつがえすものだ。首相は、「イラクは大量破壊兵器を保有している」と断定したことの誤りを率直に認めるか。
首相 認めない。イラクは大量破壊兵器を使用していた。もっていないことを立証せよという国連決議をまったく無視して愚弄（ぐろう）してきた。もっていても不思議ではない。
穀田氏は、国連のアナン事務総長もケイ氏の発言について、「重く受け止めるべきだ」とのべていることを紹介。さらにパウエル米国務長官の発言を紹介しました。
パウエル氏は一年前、国連安保理の公開討論で一時間半にわたって、イラクの大量破壊兵器保有を断定していました。ところが二十四日の記者会見で、昨年の三月の開戦時にイラクに大量破壊兵器が「あったのか、なかったのか、疑問のまま残っている」「未解決のままだ」とのべました。
穀田 パウエル氏が「未解決だ」と言っている。あなたもそういう立場に立つのか。
首相 未解決だということは事実だ。もっていないとも断定できない、もっているとも断定できない。
「もっているか、いないか断定はできない」と首相は認めました。穀田氏は「『イラクは大量破壊兵器を現に保有している』と断言して（戦争を）支持した。それは崩れ去った」と強調。首相は、「いまのイラク国民がいろいろ自由な意見を発言できるのも、フセイン政権が打倒されたからだ」とまったく関係のない答弁に終始しました。
自衛隊がイラクで占領行政の一翼を担う問題はどうか─。
首相は、二十二日の日本共産党の志位和夫委員長の代表質問に対して、自衛隊が「主体的にイラクの人道復興支援を中心とした活動に従事するものであり、米英などの占領行政の一翼を担うとの指摘は、あたりません」と答弁しました。
穀田氏は、本紙が連合軍司令部報道情報センターに問い合わせた回答を紹介しました。
｢陸上自衛隊は､イラク東南部のサマワ周辺に駐留し、彼らはオランダ軍と協力関係を持つ。彼らはＣＪＴＦ７の指揮下に入るのか。あるいは、独立した活動をおこなうのか」という質問に、「自衛隊は連合軍第七統合任務軍(ＣＪＴＦ７)の指揮下に入ることになる」と回答しています。
穀田 現実は指揮下に入ると、連合軍の司令部は回答している。どう説明するのか。
首相 本会議でも答弁した通り、占領軍の一員として認定されているわけではない。
穀田 一翼を担うどころか、連合軍の指揮下に入るということを明確にいっている。連合軍の指揮下に入らないという証文でもあるんなら出しなさい。
首相 証文とか、そういう問題じゃない。わが国自衛隊は、わが国の指揮下に入る。
結局、首相も強弁するだけで、根拠を示すことはできません。穀田氏は「占領行政への加担は、憲法九条の二項の禁止する交戦権にあたる。（自衛隊が）連合軍司令部の指揮下に入るということは憲法違反だ」と強調しました。
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