2004年1月28日(水)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 日本共産党の綱領では、資本主義の諸矛盾について、代表的な七つの現れを指摘しているそうですが、どういうものですか。(岡山・一読者)
〈答え〉 改定された日本共産党綱領は、第九節で、いま資本主義世界がぶつかっている諸矛盾について、七つの代表的な項目をあげて示しています。(1)広範な人民諸階層の状態の悪化(2)貧富の格差の拡大(3)くりかえす不況と大量失業(4)国境を越えた金融投機の横行(5)環境条件の地球的規模での破壊(6)植民地支配の負の遺産の重大さ(7)アジア・中東・アフリカ・ラテンアメリカの多くの国々での貧困の増大(南北問題)−です。
綱領はこれらを「巨大に発達した生産力を制御できないという資本主義の矛盾」の現れとしてとらえています。しかもその一つひとつが、二十一世紀に資本主義体制の存続の是非が問われる「かつてない大きな規模と鋭さ」をもっています。
たとえば一部の層に所得が集中する「貧富の格差の拡大」では、「世界の最富裕者三人の資産は四十八カ国の発展途上国のすべてと、そこに住む六億人の全GDPよりも多い」(国連開発計画九九年版「人間開発報告書」)事態がうまれ、欧米や日本でも格差が拡大しています。
資本主義は多くの恐慌を経験し、国家が経済に介入するしくみを発達させましたが、「不況と大量失業」をなくす手段をみいだせていません。逆にヘッジファンドなどの「国境を越えた金融投機」による経済かく乱など、不安定さを増しています。
オゾン層破壊や温暖化ガス排出など「環境条件の地球規模の破壊」の進行で、資本主義の地球管理能力が問われています。
世界の圧倒的多数を占めるアジア・アフリカ・ラテンアメリカ諸国では、資本主義列強がもちこんだモノカルチャー経済など「植民地支配の負の遺産」に苦しめられ、経済的活路をみいだせていません。
資本主義が、地球全体の規模では経済的統治能力をもたないことの告白といえます。(博)
〔2004・1・28(水)〕