2004年1月28日(水)「しんぶん赤旗」
政府がイラクへの陸上自衛隊本隊の派兵根拠にあげたイラク・サマワの治安情勢をめぐり、政府・与党が同市の行政執行機関である市評議会が解散している事実を隠したまま、自衛隊に派兵命令を出していた重大問題が、二十七日の衆院予算委員会で明らかになりました。達増拓也議員(民主党)の質疑で浮上したもの。
陸自本隊派兵に向けて先遣隊がおこなった報告では「サマワ市評議会は住民の意向を反映した構成のため実質的に機能している」と明記していましたが、実際には解散。外務省も二十六日朝、「評議会が総辞職し、機能していない」との報告を出していました。
ところが、政府・与党はこの問題を隠したまま、派兵を命令。小泉首相も二十七日の衆院本会議で「住民の意向を反映した市評議会の存在により、治安は安定」と虚偽の答弁を繰り返していました。
達増氏の質問に、川口順子外相は「二十四日に評議会が解散し、評議会メンバーも総辞職した」と認めました。
しかし、小泉首相、石破茂防衛庁長官は「辞任したからといって、治安が不安定だということにはならない」と開き直ったため、予算委が紛糾しました。
この問題で、日本共産党と民主党の国対委員長は同日夜、国会内で会見し、陸上自衛隊先遣隊の報告書に虚偽の事実が書かれたまま政府が派遣命令を出していたことについて、虚偽報告の真相解明と、派遣命令を撤回するよう求めました。
日本共産党の穀田恵二国対委員長は、サマワ治安が大丈夫だとする理由の一つが崩れたと指摘し、「審議の前提が崩れており、看過できない」と批判。民主党の野田佳彦国対委員長は「重要な判断根拠が崩れた。正しい情報判断ないまま、イラクに派遣することは、大きな禍根を残す」とのべました。
野党側は衆院イラク特別委員会の理事会でもこの問題を追及。審議日程が決まらないまま翌日に持ち越しました。