2004年1月29日(木)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 鶏卵の不正表示事件などがおきていますが、食品の品質表示に、製造日の表示義務がないのはなぜですか。(奈良・一読者)
〈答え〉 日本ではもともと、食品にはまず製造年月日を表示し、「賞味期限二カ月」などと併記する制度が定着していました。一九四七年制定の食品衛生法にもとづき製造日表示が始まり、日本農林規格(JAS)法にも広がったものです。
現在のように、製造日でなく「賞味期限○年□月△日」などの「期限表示」に移行したのは一九九五年からです。きっかけはアメリカの圧力でした。日本に輸出する食品に製造日を表示すると、輸送日数などで日付が古くなり消費者が敬遠するから「非関税障壁」だと主張、欧米に合わせ期限表示にせよと要求したのです。日本の大手食品業者も同調しました。日本共産党は製造日表示をやめることに反対し、復活を求めてきました。
現在の制度では、加工食品やパック詰めされた生鮮食品などは、「賞味期限」「消費期限」という期限表示をするよう義務づけられています。しかしこれらの期限表示の客観的な基準はなく、個々の業者がそれぞれ独自に判断し決めています。製造日の表示は一般に義務づけられておらず、自主的に表示している場合などを除き、消費者が製造日を知ることはできません。
期限表示は、製造日のような客観的事実で確認できるものではないため不正表示の温床になりやすく、日本ハムなどの牛肉偽装表示事件も起きました。採卵が六カ月も前の鶏卵を「賞味期限」内とし、十二月に京都府などで販売した事件では、最終的に府は業者を一週間の営業停止処分としましたが、当初、厚生労働省は「違法とまではいえない」としていたと報道されています。現在の表示制度に問題があることは明らかです。
安全な食品を選択する消費者の権利を保障するためにも、期限表示の問題点をただし、製造日(鶏卵の場合は採卵日)表示を義務づけることが必要です。
(水)
〔2004・1・29(木)〕