2004年1月30日(金)「しんぶん赤旗」
「慎重のうえにも慎重に調査を」と派兵された陸上自衛隊のイラク先遣隊の目的は、派兵を前提にした都合のいい情報集めだった――日本共産党の赤嶺政賢議員は二十九日の衆院イラク特別委員会で、独自入手した政府の内部文書を示し、初めに派兵ありきの政府の姿勢を追及しました。
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赤嶺氏が暴露した文書は「最新のイラク情勢と陸自派遣の調整状況等について(案)」。「一月二十日 防衛庁運用局運用課」「一月二十一日 外務省安全保障政策課」という送信記録が残っています。
それによると、外務省と防衛庁が同先遣隊に対して、(1)サマワ市評議会は自衛隊の到着を今や遅しと待っている(2)市民が治安維持に協力していることを示す言質を取るよう、事前に指示しています。
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例えば、「サマワ市評議会議長」の項目では「サマーワ市は、自衛隊の到来を全面的に歓迎しており、今や遅しと待っている…」とあり、その下に「【最新のコメントを再度(可能であれば書面で)確認できれば望ましい】」と言質を取ることを指示。
さらに、「その他」の項目でテロリストの侵入やデモについて記述し、「【資料源が新聞報道であるため、現地において要確認】」と、ここでも文書の趣旨に沿った言質を取るよう指示しています。
赤嶺氏は、「首相は『慎重にも慎重を期して』陸自派遣を検討したというが、自衛隊派兵先にありきで、都合のいい情報を集めてこいということだ。だから、サマワ市評議会が機能停止しても気づかない」と批判し、文書の内容を確認するよう要求しました。
石破茂防衛庁長官は、文書の存在すら「確認する予定はない。調べるつもりもない」と拒否。野党議員がいっせいに抗議の声をあげ、委員会は一時中断しました。