2004年2月4日(水)「しんぶん赤旗」
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三日に強行された陸上自衛隊本隊の派兵−。陸自幹部は「陸自が紛争地で遂行する戦後初めての作戦行動」といいます。小泉純一郎首相は「戦争には行かない」と繰り返しますが、陸自派兵部隊の編成や装備は、米英の無法なイラク侵略戦争につづく軍事占領への加担という実態を浮かび上がらせています。
政府・防衛庁は、今回の第一陣の派兵に続き、第二陣以降を今月下旬から来月下旬にかけ、三派にわけて派兵する計画です。総数は五百人以上。すでにクウェートに派兵されている航空自衛隊C130輸送機部隊(約二百人)、陸自部隊を輸送する海上自衛隊艦隊を加えると、千人を超えることになります。
外務省の資料によると、イラクに軍隊を派兵している三十八カ国中、第八位の兵力規模になります。
陸自部隊がサマワにつくる宿営地は、攻撃を受けることを想定し、“要塞(ようさい)化”します(図)。
宿営地全体には、フェンスを二重にはりめぐらし、出入り口には三重の開閉式のゲートを設置。武装した自衛隊員が警備にあたります。
警備要員は百三十人にのぼるとされており、第一陣も、三分の一が歩兵部隊にあたる普通科部隊を中心とした警備要員で占められています。
「人道復興支援活動」として陸自部隊は給水をおこなうことになっていますが、攻撃を避けるため、基本的には地元自治体のタンク車に、わざわざ宿営地内まできてもらい、給水します。
迫撃砲による攻撃に対処するため、宿営地のなかに、陸自部隊全員が避難できる防空ごうを地下に建設するとも報じられています。
これだけの厳戒態勢をとらざるをえないのは、イラクでは軍事占領という形で、いまなお戦争状態が継続しているからです。
政府は公表していませんが、日本共産党の赤嶺政賢衆院議員が明らかにした政府内部文書では、サマワのあるムサンナ州で、昨年五月から六件の占領軍への攻撃が発生していると明記しています。
陸自部隊は、戦場での兵員輸送を目的にした装輪装甲車や軽装甲機動車、無反動砲、個人携帯対戦車弾などで強力に武装します。
政府は、自衛隊の武器使用について「正当防衛」の場合と強調しています。しかし、その内実は、「向こうが撃たなければ撃つこともできないという議論があるが、それはうそ」(石破茂防衛庁長官、昨年十二月十六日の参院外交防衛委員会)というものです。
攻撃をしかけてくる相手は、テロリストだけとは限りません。国連広報官も「一般のイラク人の中にも反米、反占領感情が強い人たちが多くいる。この強い反感から、武力抵抗に出る人たちもいる」とのべています。
横暴な占領支配に抵抗するイラク国民を敵に回し、殺す危険もあるのです。