2004年2月4日(水)「しんぶん赤旗」
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政府は、地震や台風などの災害で被害にあった住宅を再建する際の費用として、最大二百万円を支給する「居住安定支援制度」の創設を柱とした被災者生活再建支援法改正案を三日、閣議決定しました。今国会に提出し、四月一日からの施行をめざすとしています。
「居住安定支援制度」は、家財購入費などとして最高百万円を支給する現行制度に加え、住宅の再建など居住の確保に必要な経費を上乗せして支給するというものです。全壊した住宅を建て替える場合は二百万円、大規模半壊した住宅を補修する場合は百万円、住宅が全壊し賃貸住宅に入居する場合は五十万円をそれぞれ上限に助成します。
支給対象は、建物の解体・撤去や建て替え費用、ローンの利子や保証料、賃貸住宅に移った場合の家賃、建て替えや補修にかかる登記の費用、仲介手数料などとされており、住宅本体の建築費への助成は除外されています。被災後三年以内(家賃は二年以内)の経費が対象となります。
また、長期避難を余儀なくされている東京・三宅島の住民を想定し、三年以上の長期避難となった世帯に、以前の居住地に再転居するのに必要な移転費用、生活品の購入費として最大七十万円を新たに支給する特例制度が盛り込まれています。
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いまなお生活再建が果たせない多くの被災者の実態、粘り強い運動が国を動かし、制度をつくらざるを得ないところまできたことを確信にしたいと思います。賃貸住宅入居者への支援や三宅島の方への新たな支援が盛り込まれるなど前進面はありますが、対象世帯が限定されている、金額が低いなどの問題点について国会審議で明らかにし、被災者全体を対象とした支援制度にするために全力をつくします。
地震などの自然災害で壊れた住宅の再建のために、政府が被災者に現金給付する新しい「居住安定支援制度」は、全国の災害被災者の個人補償を求める粘り強い運動が実った大きな一歩といえます。
「住宅再建に公的支援を」という被災地の切実な声は、阪神・淡路大震災をきっかけに全国に広がりました。昨年七月には全国知事会も、公的支援による住宅再建支援制度の早急な創設を緊急決議し、国に要望しました。
日本共産党は、一九九五年の阪神・淡路大震災直後の国会で、真っ先に個人補償、公的支援を要求するなど、一貫して災害被災者への個人補償の実現へ全力をあげてきました。九五年二月には政府の責任による個人補償と住宅保障を柱にした復興対策を提案、九六年、二〇〇一年には、生活と住宅再建にそれぞれ最高五百万円を支給するという内容の法案大綱を発表し、超党派の議員に共同をよびかけて実現に努力してきました。
国会質問でもたびたびとりあげてきました。昨年七月の参院災害対策特別委員会では、兵庫県選出の大沢たつみ議員が質問し、鴻池祥肇防災担当相が「予算編成に反映できるよう努めたい」と答弁しました。
こうした世論と運動、国会論戦をうけて、内閣府は来年度概算要求のなかで初めて、住宅再建支援制度の創設を打ち出しました。
今回、改正案に盛り込まれた新制度は、「個人の私有財産(住宅)への公費投入はできない」という政府のかたくなな態度から、住宅本体の建築費用への利用は認められていません。被災世帯の所得や世帯主の年齢による支給対象世帯の選別という枠組みは改善されていません。被災者に役立つ制度にするには、こうした壁をうちやぶる必要があります。そのための運動はすでに始まっています。(江刺尚子記者)