日本共産党

2004年2月5日(木)「しんぶん赤旗」

保険料 給与1カ月分にも

年金への信頼性崩す


 四日の与党年金制度改革協議会は、毎月支払う年金の保険料について、厚生年金は十月から、国民年金は来年四月から二〇一七年まで毎年引き上げていくという、かつてない負担増の仕組みを盛りこむことで合意しました。老後に受け取る給付水準を、少子化や経済悪化、さらに平均寿命の伸びに合わせどんどん落としていく改悪も例のないものです。

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 この間の政府の「年金改革」で負担増・給付減が繰り返され、国民から遠のいていく年金=“逃げ水”年金と批判をあびてきました。今回の改悪は年金不信を決定的にするもので、多数の週刊誌が少しでも損をしない方法を別冊までだして特集するほどです。

 上限まで保険料を引き上げるといったいどうなるのでしょうか。厚生年金でサラリーマンの平均年収(約五百七十万円)の場合(グラフ)、ボーナスを含めて年間五十二万一千五百五十円となり、十三万四千円余の負担増となります。給与一カ月分を丸々差し出すことになります。

 これまでも五年ごとの見直しで長期にわたる保険料引き上げを想定して、当面の引き上げ額を決めてきました。それでも、その都度、法案提出で賛否を国会に問い、国民の前で審議されてきました。今回の改悪は、こうした手続きを省略。国会審議、法改定なしで毎年自動的に引き上げる仕組みにします。給付水準についても、「自動的」に引き下げられることになります。

 与党合意は、厚生年金給付について「現役世代の平均収入の50%以上の水準を確保する」という点を最大の目玉としていますが、該当するのは入社以来四十年間保険料を払いつづける「モデル世帯」だけです。共働き世帯、単身世帯は30%台、40%台まで落ちこみます。

 「老後の安心を確保するための制度の根幹にかかわる大きな改革」「国民の期待に応えることとなるものと確信する」と合意で強調しますが、いかに世論とかけ離れていることか。「読売」の世論調査(一月二十九日付)で、国の年金制度を「信頼していない」「どちらかといえば信頼していない」という人が合わせて64%にものぼりました。「将来支給される年金額がわからない」「支給される年金額が少ない、あるいは、少なくなる」が約50%、「納める保険料が高い、あるいは、高くなる」が41%を占めています。

 保険料は毎年上がりつづけ、給付水準は低下の一途、物価が下がればいま受けとっている年金も減額、さらに年金課税の強化で給付ダウン――これでは“年金虐待”とさえいえます。

 一方で与党案は、法律で〇四年度実施と書かれていた、基礎年金の国庫負担割合の二分の一への引き上げを〇九年度まで先送り。公的年金の安心、信頼の根幹となる国の責任を果たそうという姿勢はありません。基礎年金の国庫負担引き上げを道路特定財源の見直しなどで直ちに実施することや、不安定雇用を拡大する大企業のリストラを規制して年金の支え手を増やすなど、社会保障を主役にした財源対策が強く求められています。(山岸嘉昭記者)


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