日本共産党

2004年2月5日(木)「しんぶん赤旗」

自動車のリコール制度とは?


 〈問い〉 最近、自動車のリコールが多いですが、そもそもリコール制度とは、どんな制度ですか。(東京・一読者)

〈答え〉 リコール制度とは、自動車のメーカーや輸入業者にたいし、欠陥車の型式や欠陥個所などを国土交通省に届け出させ、対象車両のユーザーへの周知と、無料修理などを実施させる制度です。道路運送車両法にもとづく制度で、国土交通省が省令で定めた「保安基準」に、同一型式・一定範囲の自動車が適合しないかその恐れがあり、原因が設計または製造過程にある場合が、リコールの対象となります。

 リコール制度は一九六九年度から始まり、国土交通大臣のメーカーへの「勧告」権限や罰則などが整備されていき、二〇〇一年の法改正では、メーカーに国交大臣がリコールを「命令」する権限も創設されました。しかし、リコールすべきかどうかをメーカーから独立して判断できる体制もなく、事実上メーカーまかせとなっています。その中で大規模なリコール隠し事件も起きています。

 このように不十分なリコール制度ですが、最近のリコールの急増は重大な事態が進行していることを告げています。一九九〇年代後半以降、国産車のリコールが急増し、九九年度以降は毎年二百万台を超えています。二〇〇三年度は、昨年四月から十一月までの八カ月たらずの中間集計で、過去最悪だった〇一年度を超える、三百三十二万台(輸入車とあわせた総計は三百四十三万台)にのぼりました。

 この背景には、新車を市場に出すまでのスピード競争が過熱し、安全性が置き去りにされ、「お客様がテストドライバー」といわれるような事態が生まれていることが、指摘されています。事実、〇二年度のリコール届け出件数の55%は、「設計」段階のものです。自動車メーカーが大規模な人員削減や不安定雇用の拡大をすすめるもとで、技術継承も困難になっていることなども見逃せません。(

〔2004・2・5(木)〕


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