2004年2月7日(土)「しんぶん赤旗」
【ロンドン=西尾正哉】“四十五分で大量破壊兵器の配備が可能”と脅威をあおってイラク戦争を強行したブレア英首相は四日、英情報機関が問題のイラクのミサイルを短距離ミサイルと想定していたことを知らなかったことを認めました。同首相の脅威認識のお粗末ぶりが改めて明らかになりました。
ブレア首相が繰り返し引用してきた“四十五分”という主張は、大量破壊兵器がみつからず、その根拠自体が崩れています。
その上に、“四十五分”で配備可能という兵器が、戦場で使用する短距離射程のミサイルで、地中海のキプロスにある英軍基地にまで着弾可能な長距離ミサイルではなかったことが情報機関が作成した機密情報文書で判明しました。
ブレア首相は四日の下院の討論で、戦争を強行した昨年三月の時点でイラクが化学・生物兵器の長距離ミサイルを発射する能力がなかったことを知らなかったと認めました。
ブレア首相が「誤解」を認めたことに対し、当時、閣内にいて機密情報を得ていたクック前院内総務は、イラクの脅威は戦場でのことと知っていたとのべ、ブレア首相がこのことを知らされていなかったことは信じられないとして、解明を求めました。
野党保守党のハワード党首は五日、「戦場に兵を送るときに基本的な問題を尋ねることをしないのは重大な怠慢だ」と指摘し、ブレア首相に辞任を求めました。