2004年2月7日(土)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 日本共産党は首相・閣僚の靖国神社参拝に反対していますが、私的参拝ならよいのでしょうか。(埼玉・一読者)
〈答え〉 靖国神社は、侵略戦争の精神的支柱となり、いまも戦争を肯定・美化しA級戦犯も合祀(ごうし)している神社です。日本共産党は、首相や閣僚の靖国参拝には、本人の「公式」「私的」といった言明にかかわらず一貫して反対しています。この区別が恣意的で無意味なことは、これまでの靖国参拝の経緯にも現れています。
歴代首相で八月十五日に靖国神社に参拝したのは、一九七五年の三木武夫首相が最初です。三木首相は「私人」としての参拝だと強調しましたが、これが靖国参拝問題の始まりでした。
このとき政府は、▽公用車を使用しない▽玉ぐし料を国費から支出しない▽記帳は公職の肩書きを使用しない▽閣僚など公職者が同行しない−の四条件を満たせば、私的参拝であるとの解釈を示しました。しかし、この政府解釈はその後の歴代内閣で次々に破られ、ついに一九八五年、中曽根康弘首相が初めて「公式参拝」だと明言して参拝を強行したのでした。
結局、「私的参拝」なるものは、公式参拝にむけて既成事実を重ねるための煙幕でした。自民党は一九七四年までに、靖国神社国営化法案を五度提出し、すべて廃案に追い込まれていました。自民党は、国民の反対でいつまでも成立できない国営化法のかわりに、靖国への公式参拝をなし崩し的に定着させ、事実上の国家的な宗教施設にしたてあげようとしたのでした。
八五年の「公式参拝」に国内外の反発が大きかったため、翌年から十年間、首相の参拝は断絶しました。この間、九一年の岩手靖国訴訟仙台高裁判決など靖国公式参拝を違憲とする判例も定着しました。九六年の橋本竜太郎内閣から首相の参拝が再開されましたが、首相が参拝すること自体が政府による靖国神社の特別扱いであり、憲法の政教分離原則(第二〇条)などに違反するものです。(清)
〔2004・2・7(土)〕