2004年2月8日(日)「しんぶん赤旗」
【ベルリン=片岡正明】ドイツのシュレーダー首相は六日、ベルリンで緊急の記者会見を開き、「党内のことより改革、外交に専念したい」として与党・社会民主党の党首を辞任すると表明しました。同政権は米国のイラク戦争・占領を批判し続け、外交では内外の反戦世論にこたえていますが、内政では社会保障、労働条件の改悪政策「アジェンダ二〇一〇」に国民の批判が高く、党内で「このままでは選挙がたたかえない」という声が強まっていました。
首相は「改革の実行に関する(党との)調整の困難」を辞任の理由にあげ、党首を辞めて現在の政策を推進する姿勢を示しました。これまで以上に福祉削減を強行すれば、国民の反発はさらに強まらざるをえません。後任にはミュンテフェリング連邦議会院内総務が就任する予定。三月に臨時党大会を開催し選出します。
シュレーダー首相が二〇〇三年春に「アジェンダ二〇一〇」で失業保険の給付期間短縮、解雇規制の緩和、医療費の一部窓口負担導入を提唱して以来、社民党の支持率は急落し地方選挙で連敗してきました。社民党の支持率は現在25%。最大野党キリスト教民主同盟・社会同盟の約半分にまで落ち込んでいます。昨年だけで四万数千人の社民党党員が離党しました。
昨年末「アジェンダ二〇一〇」の大枠が国会を通過した後、社民党内で指導部批判が噴出。「改革を一時中断せよ」「主張を国民に伝える努力が足りない」などの声が州レベルであがりました。今年は欧州議会選挙をはじめ、五州で州議会選挙、七州で一斉地方自治体選挙が続きます。経済労働相、保健社会相、内相など閣僚の責任を問い内閣改造を要求する声が突きつけられたほか、ヘッセン州の党代表はシュレーダー氏の党首辞任を要求しました。