2004年2月11日(水)「しんぶん赤旗」
日本共産党の小池晃政策委員長は十日、年金改悪法案の閣議決定にあたって次の談話を発表しました。
一、本日、閣議決定された「年金改革法案」の最大の特徴は、大幅な保険料引き上げと給付水準の引き下げを、国会の審議なしで自動的に改定できる仕掛けをつくることである。この「法案」によって、厚生年金の保険料は、本人負担で平均して毎年一万円、国民年金も毎年三千三百六十円ずつ、二〇一七年度まで連続的に値上げが続くことになる。一方、給付水準は、「モデル世帯」(夫四十年加入、妻専業主婦)の年金で現在の現役世代の手取り収入の59・4%から、二〇二三年度には50・2%まで下がり、年間約四十四万円(現在価格)、ほぼ二カ月分の年金が消える。現実には「モデル世帯」はごく少数であり、共働き世帯や単身者の給付水準は現役世代の収入の三〜四割台まで引き下がる。さらに重大なことは、月額五万円程度の国民年金受給者層も給付削減の対象とされることである。これは憲法で保障する生存権を根本から否定するものである。
一、政府・与党は、年金財政のゆきづまりをもっぱら少子化のせいにしているが、近年の財政悪化の最大の要因は、政府・与党によるリストラ応援政策にある。それをなんらあらためることなく、国民にだけ痛みを押しつけることは、政治の責任を放棄するものといわざるをえない。しかも、本年四月実施が法律にも明記されている、肝心の基礎年金への国庫負担引き上げを再び先送りしようとしていることは、年金制度の土台をますます不安定なものにするものである。重大なことは、政府・与党が先送りした国庫負担引き上げの財源を、年金課税の強化、定率減税の縮小・廃止、消費税増税にもとめる方針を明確にしたことである。これでは年金制度の立て直し以前に、国民の暮らしが崩壊することは必至である。
一、日本共産党は、今回の政府案に代わる対案として、第一に、基礎年金への国庫負担を、〇四年四月から現在の三分の一から二分の一へ引き上げることをもとめる。その財源(二・七兆円)は、道路特定財源の一般財源化(国税分で約四兆円)など歳出の見直しでまかなうべきである。第二に、雇用と所得をまもる政策への転換をはかり、少子化対策に本腰をいれることで、年金制度の空洞化を止めることである。第三に、百五十兆円にものぼる巨額の積立金を計画的に取り崩し、給付改善と負担軽減にあてることを要求する。さらに、現在の基礎年金部分を発展させて、だれもが一定の年金額を受け取れる「最低保障年金制度」への移行をめざすものである。日本共産党は、政府・与党の年金大改悪法案の撤回をつよくもとめる。将来に希望がもてる年金制度をつくるために、国民のみなさんとともに、全力をあげる決意である。