2004年2月12日(木)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 イラク派兵で日本共産党はなぜ違憲訴訟を起こさないのですか?(東京・一読者)
〈答え〉 イラク派兵法が憲法の前文と第九条に違反する違憲立法であることは明白です。元自民党衆院議員の箕輪登氏の提訴は政治的にも一定の重要な意義があり、「しんぶん赤旗」でも報道しているとおりです。
日本の裁判制度では、最高裁が直接、制定された法律そのものについて一般的に違憲・無効だとの判断をしたり、法律の施行を差し止められるようにはなっていません。また国民が直接最高裁に法律が違憲かどうか判断を求めることもできません。
具体的にその法律が施行された結果、被害をうけた人が地方裁判所に裁判をおこし、そのなかで違憲の判断を求めることになります。その裁判が最高裁まで上がってきたときにはじめて、「終審」として違憲かどうかの判断をするわけです。判例も「司法権が発動するためには具体的な争訟事件が提起されることを必要とする」(最高裁一九五二年十月八日警察予備隊違憲訴訟判決)という考えにたっています。
そのため、イラク派兵を差し止めせよとの訴訟だけではすぐ却下されてしまうので、箕輪氏が今年一月二十八日に起こした訴訟も、損害賠償訴訟の形式をとり、裁判が続けられるよう慰謝料一万円の要求がつけられているのです。
現在の裁判所は真正面から違憲の可否を判断することはきわめて消極的で基本的争点が裁判の中心となりにくく、これを打ち破るのはなかなか困難であるという面もあります。
しかし、国民的運動の発展のうえで違憲訴訟が果たす役割を一律に否定するものではなく、個々の国民や関係者の自発的な意志によって提起されるものについては、その積極的な意義を評価し、必要な支援もおこなっています。(光)
〔2004・2・12(木)〕