2004年2月13日(金)「しんぶん赤旗」
「個人の生活にとっても、日本経済にとっても大変なマイナスだ」――。日本共産党の佐々木憲昭議員は十二日の衆院予算委員会で、過去三年間に実施・決定されたものと、来年度予算案に盛られているものを合わせると、年間で国民負担増が約七兆円にのぼるという試算を示し、政府を追及しました。
|
佐々木氏は、「(日本経済が)着実に回復している」(施政方針演説)という小泉純一郎首相の認識の是非をただしました。
日本経団連役員を出している大企業十七社の二〇〇三年三月期純利益の合計が二兆二千八百十五億円に達する一方、勤労者世帯の実年収は二〇〇〇―〇三年で四十三万円以上も落ち込んでいます(グラフ参照)。佐々木氏は、この事実を指摘し、「大企業は利益を急増させているが、勤労者は収入を激減させている。あまりにも大きな落差だ」とのべました。
小泉首相は「今のところ大企業中心ではあるが、利益も業績も上がってきた」「現時点では、まだ本格的な家計収入の増加には結びついていない」とのべ、落差拡大を否定できませんでした。
「痛めつけられた庶民の家計を応援するのが政治の責任ではないか」。佐々木氏が、七兆円にのぼる負担増計画の一覧表を示すと、小泉首相ら閣僚が見入りました。
小泉内閣発足後の三年間で実行済み、または決定済みの負担増総額は四兆三千億円あまり。この負担増について、小泉首相も「(負担額は)その通りだ」(昨年の衆院予算委での答弁)とのべています。
老人医療費の改悪やサラリーマンの医療費三割負担、さらに、年金給付の引き下げ、介護保険料や雇用保険料の引き上げなどの制度改悪もありました。
庶民増税では、酒税(発泡酒・ワイン)・たばこ税の増税が実施済み。二〇〇四―〇五年度にかけて、所得税・住民税の配偶者特別控除(サラリーマンの妻が対象)の廃止が決まっています。消費税の免税点の引き下げで中小・零細業者は悲鳴をあげています。
こうした負担に加え、政府が提出した二〇〇四年度予算案では、新たに約三兆円の負担増を上乗せしようとしています。
その中身は、厚生年金保険料率を十四年間、国民年金保険料を十三年間にわたって連続して引き上げ、年金給付も削減するものです。年金改悪の影響で、今後三年間で約二・五兆円の負担増がのしかかります。
そのほか、公的年金等控除の縮小や老年者控除の廃止は、高齢者や低所得者を狙い撃ちする内容です。
しかも、自民、公明両党は、所得税の定率減税の廃止・縮小や、〇七年度から「消費税増税を含めた抜本的税制改革を実現すること」(与党税制改正大綱)で合意しており、さらなる負担増を狙っています。
こうした負担増が何をもたらすのか――。
第一生命研究所のリポート(昨年十二月二十四日)でも「今回の制度改正によって国内需要の大黒柱である個人消費が景気を牽引(けんいん)することは当面考えにくく、むしろ足を引っ張る可能性も否定できない」と分析しています。
このリポートを紹介しながら、佐々木議員は「経済政策の根本的な転換を」と負担増計画の撤回を強く求めました。