2004年2月14日(土)「しんぶん赤旗」
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消費税の免税点引き下げは、消費者にも影響があるのでしょうか。
はい、あります。免税点の引き下げによって新たに課税される業者が、商品価格に消費税分を転嫁せざるをえなくなることで、消費者にとっては、買い物の際の負担が増えることになります。
消費税は、消費者が負担した税金を企業が受け取ったとみなし、企業側に納税義務が課せられています。しかし、実際には、中小業者の多くが大手業者との価格競争の中で、消費税を価格に上乗せできない状況が広がっています。
中小業者が消費税を価格に上乗せできなければ、その負担は、中小業者が負うことになります。そのために、中小業者の負担を軽減するために、現行売上高三千万円以下の中小業者の納税義務を免除する仕組みが、消費税の免税点制度です。
この免税点が、今年四月から一千万円に引き下げられます。
免税点引き下げによって、新たに課税業者になる業者数は約百三十六万事業者。免税点引き下げなどによって国民に課せられる増税額は、六千三百億円になります。
多くの中小業者が、(1)消費税分を商品価格に転嫁すれば大手業者との価格格差を広げ、価格競争で不利になる(2)転嫁しなければ、利益を削って消費税を納めることになり、経営をさらに悪化させる、という苦しい選択を強いられます。
こうした状況のもと、免税点が引き下げられた場合、免税事業者の過半数(52・3%)が「完全には転嫁できない」(経済産業省調べ、〇二年八月)と考えています。
仮に、新たに課税対象にされた半数の業者が、消費税を価格に転嫁するとすれば、サラリーマンと専業主婦、子ども二人の四人世帯(年収六百二十二万円)では、消費者の負担増分は、年間約四千円になる見込みです。
政府は、「消費者の支払った消費税相当額が国庫に入っていないのではないか」と疑惑の目を中小業者に向け、消費税への信頼を高める必要があるとの理由で、「免税点制度を大幅に縮小する」(〇二年、政府税調答申)としてきました。
価格競争に対する中小零細業者の経営努力を水の泡にし、さらに景気や地域経済を冷え込ませるだけでなく、消費者に新たな負担増を押し付けるのが、消費税の免税点の引き下げです。
消費税への「信頼を高めた」後に待っているのは、消費税率の引き上げです。国民に負担増を押し付け、税率引き上げの布石となる免税点引き下げはやめさせねばなりません。