2004年2月14日(土)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 最高裁の違憲立法審査の現状はどうなっているのでしょうか?(京都・男性)
〈答え〉 違憲立法審査権は、司法権の立法権に対するチェック機能としてきわめて大切な意義をもち、憲法第八一条で「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審の裁判所である」と定められています。
最高裁が具体的事件をもとに違憲立法かどうかの審査を求められることは多いのですが、違憲立法だとの判断をくだすことにはきわめて消極的です。歴代自民党内閣が最高裁裁判官の任命権を利用して政府の意にそう裁判官を集めてきた結果です。
最近は、憲法の民主的条項を尊重する日弁連推薦の弁護士出身の最高裁裁判官が任命されるようになり、世論の高まりを背景に、違憲立法審査の判断に一定の変化が生まれつつありますが、衆院・参院の定数格差是正を求める訴訟、嫡出子と非嫡出子との間に相続分の格差を設けた民法の規定は法の下の平等に反するとの訴訟でも、違憲判断をする裁判官は依然として少数にとどまっています。
日本共産党は、最高裁判所裁判官の任命のあり方を、真に国民の意思が反映するよう、国民各層の代表者で構成される最高裁裁判官任命諮問委員会をつくり、内閣の最高裁長官の指名と最高裁裁判官の任命にあたっては、諮問委員会の答申を尊重させることによって、内閣の恣意的人事を排し、任命の民主化をはかることを提案しています。
総選挙時の最高裁裁判官国民審査でも、判決に対する各裁判官の態度について日常的に積極的な広報や報道をおこなうことや、投票では信任は〇印、不信任は×印を記入することとし、無記入投票は棄権とみなすなど改善が必要です。違憲が争われている裁判について、国民のあいだでの宣伝や署名運動を広範に発展させ、裁判所を国民世論で包囲するようなとりくみが大事です。(光)
〔2004・2・14(土)〕