2004年2月15日(日)「しんぶん赤旗」
日本共産党事務所に電話して「派兵は拒否できませんか」と相談する親。「小泉さんにはがまんできない」と怒る親…。十四日、海上自衛隊の輸送艦「おおすみ」も出港してついに陸海空三自衛隊が派兵されることになりました。その自衛隊員の家族はいま、テレビで報道される戦地=イラクの現状を見ながら不安に揺れています。家族たちの思いを北海道で取材しました。渡辺浩己記者
|
「本当はだれもイラクなんかに行ってほしくないんですよ」
娘の夫が第二師団(司令部・旭川)に所属する五十代の母親がいいました。
イラク派兵の話が持ち上がってから、途切れがちになった母親と娘婿との会話。「第一陣には選ばれなかったけど、これからもどうなるかわからない。第二陣、第三陣なんて考えたくもありません」
テレビを食い入るように見つづける毎日です。十二日には、陸上自衛隊が宿営地建設を進めているサマワ市中心部も迫撃砲で攻撃されました。「とにかく心配。人ごとじゃないんですよ。無事に帰ってきてほしい、それだけ。でもなぜこんな大事なことを国会でまともな議論もしないで強行採決するんですか。選挙を早くやって小泉さんを早く変えてほしい。願いはそれだけです」
一月下旬のある夜、日本共産党札幌中央地区委員会の事務所に「派兵は拒否できませんか」と電話をかけてきた隊員の母親がいました。
たまたま電話をとった久保田忠地区委員長に声を詰まらせながら語りました。
「イラク行きは息子が志願しました。その息子は『自分はイラク人を傷つけたり、殺したりできない。でも今やめるといえば、別の隊員が行くことになる。そう思うと自分が行って死んだほうがましだ』というんです」
その夜、同じ地区委員会に「夫が航空自衛隊に勤務している」という女性からもこんな電話がありました。
――夫は“自衛隊に入ったのはイラクの戦争に参加するためではない”と派遣を拒否した。そのため秘密をもらすのではと監視されている。行き詰まったときに相談できる共産党の人を紹介してほしい。
久保田地区委員長は「二人の話は本当に胸に迫ってきた。その思いにこたえなければ」
旭川市で会った母親の息子も第二師団に所属しています。息子は派遣第一陣から第二陣に代わりました。「一カ月でも伸びたことはほかの家族には申し訳ないがほっとしてる。もう覚悟はしているが、入院中の父親が亡くなったとき、息子が会えないと思うと心残り」といってこう続けました。
「息子を自衛隊に入れたのは私。でもイラクに戦争に行かせるためにいれたのではない。だから息子には申し訳ないと思う。行くのは仕方ないかもしれない。したけども小泉さんにはがまんできない。イラク行きを決めた自民党と公明党が一番憎い」