2004年2月19日(木)「しんぶん赤旗」
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「小泉さんには老人への同情がまったくない。必死で働いてきたことがまったく報われない世の中になってしまいました」―。静かな口調に怒りを込める東京・渋谷区の福岡英次さん(91)。日本共産党の志位委員長が党首討論で紹介した月十万円未満の国民年金で暮らす夫婦の訴えをした本人です。
三年前から病気療養中の福岡さんは、都営アパートの布団から起き出し、妻の栄子さん(74)とともにかたずをのんでテレビ中継を見守りました。
「志位さんが私たちのことをとりあげてくれるなんて、うれしい」。緊張した面持ちでうなずきながら聞き入る二人。
年金は二人で月十万円足らず、そこから介護保険料は二人で月四千六百円も天引きされます。国保料を月四千五百円払い、医療費は志位さんに訴えを寄せた当時よりも増えて、月一万円近くかかっています。
「生活保護水準以下の国民年金まで実質15%も給付水準を引き下げる年金改悪案は憲法違反だ」。自民・公明政府の年金改悪案の撤回を強く求める志位さん。しかし小泉首相はまともに答弁しません。
「腹が立って、ゆでだこになりそう」。栄子さんは顔をしかめます。「去年までパートに出てたけど主人の看病のため辞めました。年金以外の収入なんてありませんよ。貯金も使い果たしました。あとは生活保護しか残っていません」
「こんなわずかな年金も削るなんて長生きしすぎたかもしれませんね。それにしても厚生労働大臣は公明党の坂口さんでしょ。あの党もひどいね」。英次さんはつぶやきました。
「小泉さんは、ひもじい気持ちがわかっていない」。東京・江東区の江東生活と健康を守る会では、年金と生活保護で暮らす高齢者が志位さんの党首討論を視聴、小泉内閣の弱者をかえりみない姿勢への怒りと、生活の不安を口々に語りました。
「志位さんのいうことがなんで勘違いなのか。苦しい、ひもじいという気持ち、わからないんじゃないですか」というのは佐藤みよしさん(75)。年金は月八万円弱で、「がまんすれば何とかやれる。でもこれから自分はどうなるのかなと不安です」。病気になったらどうするか、年金が減ったら、と不安は増すばかり。「とにかく弱者の気持ちをわかってほしい」というのが政治への願いです。
小俣ふみ子さん(71)は国民年金七万円の収入で家賃が四万五千円。「首の手術をしたが、薬が高いからそのあと病院にいかない」ほどです。「冷えきるからストーブを使ったら電気代が七千円になって。つくづく大変で」
冷蔵庫が壊れても生活保護でとりかえられない、お金がかかるから出歩かない、病院にもいかない――などという話が同会の会員にはあります。常任理事の星幸子さん(63)は「国民の生活を守る憲法を踏みにじって、本当に大変な首相。私たちの生活どうなるのか不安だらけです。弱いところから(予算を)切っちゃって…。ムダな大型開発や政党助成金を高齢者にまわしてほしい」と話しました。