2004年2月21日(土)「しんぶん赤旗」
|
BSE(牛海綿状脳症)、鳥インフルエンザなど食の安全を脅かす深刻な問題が相次いで発生しています。日本共産党の高橋ちづ子議員は十八日の衆院予算委員会で質問し、食の安全と営業、国民の健康を守る対策を政府に迫りました。
大分県九重町で確認された鳥インフルエンザウイルス感染で、半径三十キロ圏内の鶏と肉、卵が移動禁止になりました。同圏内の養鶏農家は大分県に四十九戸、熊本県に十六戸あります。湯布院などの観光地もあり、農家のほか観光産業への影響も心配されています。山口県下の発生では、鶏肉や鶏卵の移動制限をうけた農家にたいして、損失額の半分を補てんする支援策が実現しました。これは日本共産党国会議員団がもとめてきたことです。
高橋議員 (山口県と)同様の措置をまずお約束いただきたい。風評被害も含め財政支援をすべきだ。
亀井善之農林水産相問題が生じる都度、必要に応じてその対策を講じていきたい。
これを受けて農水省の石原葵事務次官は十九日、出荷停止期間中の損失額補てんを検討していることを明らかにしました。
鳥インフルエンザでは、感染ルートの解明、防疫体制の確立が急がれています。現在、日本が輸入停止しているのはベトナム、タイ、中国など十三カ国・地域にのぼります。高橋議員は、防疫マニュアルが昨年九月に作成されながら、農家へのモニタリング調査が遅れたことを指摘し、実効ある調査を求めました。
高橋議員 空港や港湾などで、人に対する検疫対策は何かしているか。
金田英行農水副大臣 感染国で、特に鳥、養鶏場などに立ち入ったあと帰国する客に、空港、港で協力してもらい靴底の消毒などをお願いしている。
高橋議員は、本人が申告するだけでは不十分だと指摘。口蹄(こうてい)疫のときはきちっと帰国者、入国者への靴底の消毒が行われていたとのべ、対策を強化するよう求めました。
鳥インフルエンザは、現段階では「人から人へ感染することはない」とされています。しかし、ベトナムでは感染した人間の死亡例もあり、ウイルスが変異して新型インフルエンザが発生し大流行することも危ぐされています。
高橋議員は、国立感染症研究所ウイルス第三部長の田代眞人氏の「新型インフルエンザの世界的規模での大流行がありうる」との指摘を紹介。対策の決め手となるワクチンと抗インフルエンザ剤の開発に国も力を入れ、国家備蓄にとりくむよう要求しました。
また、日常的な予防衛生活動にあたる保健所、保健師の役割が大きいと指摘。にもかかわらず、保健所が九年間に八百四十七から五百七十六まで減らされ、結核・感染症などの専門医療を担う国立病院の統廃合や移譲をすすめようとしていることをとりあげました。
高橋議員 こうしたなかで、新たな伝染病に備える、国民の健康を守ることはそもそもできないのではないか。
坂口厚労相 公立、私立病院ともに連携しながらやっていかなければならない。
高橋議員は、「民間は医療改悪で大変な思いをさせられている。国の責任を逃れてはいけない」とのべました。