2004年2月22日(日)「しんぶん赤旗」
小泉・自公政権が国会に提出した年金改悪法案は現在受給している人も含めて一律に給付水準を15%カットするものです。生活保護基準以下の平均月四万六千円という国民年金だけの受給者も例外ではありません。年金を頼りに暮らしているお年寄りの生活はどうなるのか。「暮らしの土台を破壊する年金改悪は許さないぞ」と、草の根の運動も急速に広がっています。
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「これ以上年金が減ったらとても暮らせない。小泉さんに殺してくれと言いたいわ…」。東京・江東区、下町の運河沿いに建つ都営住宅。一人暮らしの藤田キミさん(76)は、年金改悪案の内容を聞くと、小さな体をさらに小さく丸め、にじむ涙をぬぐいました。
年金は月五万三千二百円です。介護保険料(月二千四百円)が天引きされると振り込み額は月五万八百円しかありません。心臓病で手術し身体障害者手帳一級で、都の心身障害者福祉手当が月一万五千五百円。ほかに収入はなく、貯金もわずかになりました。
支出は国保料が月七百四十円、水光熱費と電話代で一万二千円程度かかります。家賃や医療費は都の制度でいまのところ無料。食費や交通費、衣服費、交際費を残り五万六千円程度でまかなう暮らしです。
「結局、食べるものを詰めるしかないです」。魚といえば一匹百円のサンマばっかり。できあいのおかずは三百円以上するからと絶対買いません。かわりに一袋百円のおからを冷凍し小分けして調理しています。苦しいやりくり。医者からは「体力が落ちないように肉と魚を欠かさないで」といわれていますが、ままなりません。「とことんまで困ったら煮干しでも食べるしかないな」。また涙がにじみます。
介護保険でヘルパーを頼みたいのですが、利用料が払えないとあきらめました。四年前、夫と死別してから、区の老人センターで友達とおしゃべりするのが唯一の気晴らしです。ところがそれも「お菓子を持ち寄って食べるから手ぶらじゃ行けないの」。だんだん足が遠のいています。
同じ都営住宅に住む江東生活と健康を守る会の星幸子さん(63)が生活保護の申請を勧めます。でも藤田さんは断ってきました。「世話になりたくないと一生懸命切り詰めてがんばってきたの。それなのに年金減らすなんて…」。生活保護基準以下のお年寄りの年金にまで手をつける前代未聞の改悪案。星さんと話すうちに藤田さんはいいました。「イラクに自衛隊出したりするから余計に国民に使うお金がなくなるんじゃないの。小泉さん、倒さないといけないよね」