2004年2月23日(月)「しんぶん赤旗」
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四人に一人がフリーターといわれる深刻な青年の雇用。国会でも大きな焦点になっています。昨年十二月末で、高校生の七万四千人が就職未内定、大学生も十万人が未内定――日本共産党の石井郁子副委員長が十九日の衆院予算委員会で示した数字です。
二十五歳未満の若者の失業率は10・1%で全体の二倍以上。しかもパートやアルバイトなどのフリーターが増加しています。「若者に安定した働き場所がない、この先も保障されないというのでは、日本社会の維持発展が危ういといわなければなりません」(石井氏)
なぜこんなことになっているのでしょうか。それは、大企業が人件費を抑制するため、新規採用を抑え、パートやアルバイトを増やしているからです。
政府の二〇〇三年度版「国民生活白書」でも、この五年で中小企業は新規採用を三万人増やしているのに対し、大企業は百八万人も減らしていると指摘しています。
近畿高等学校教職員組合連絡協議会が昨年九月にまとめた『近畿の高校生就職黒書』は、「求人数の激減、求人職種の偏在の拡大は、高校生が企業や職種を選ぶことを事実上不可能としています」と告発しています。
ところが政府の認識は、「額に汗して働くことの尊さとか勤労観、職業観、そういうものがきちっとはぐくまれていない」(河村建夫文科相)などと、大企業の責任より若者の職業意識を問題視する逆立ちぶりです。
石井氏は、「大企業に対して、若年採用の確保という社会的責任を果たすよう国は指導すべき」だと要求。坂口力厚労相も「採用をお願いしていきたい」と答えざるをえませんでした。
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さらに見逃せないのは、深刻な失業や就職難の一方で長時間労働がまかり通っていることです。
男性では五人に一人が週六十時間以上。若者のなかにも過労死が広がるなど、異常な長時間労働、過密労働がまん延しています。
労働時間の短縮や有給休暇の完全取得をすすめれば雇用を増やすことができることは、各方面から指摘されています。
実際、第一生命経済研究所では、サービス残業をなくせば百六十万人の雇用が創出できると試算(〇三年七月)。『レジャー白書二〇〇二』(自由時間デザイン協会編)では、年休を完全取得すれば百五十万人の雇用確保ができると指摘しています。
若年雇用増にとりくむ政府の姿勢を示しているのが予算です。若年雇用対策費を国内総生産(GDP)比で比べてみると、フランスの0・43%(二〇〇一年度)など欧米諸国に比べて、日本はわずか0・01%(二〇〇四年度)しかありません。(グラフ)
政府自身の責任でも新たな雇用を増やすことができます。小中学校で三十人学級を実現すれば学級が約八万四千ふえ、約十一万一千人の教員が必要となる―石井氏の質問に河村文科相が明らかにした数字です。
このほか、お年寄りの介護に必要なホームヘルパーは、不十分な政府の介護保険計画を達成するだけでも十五万人増が必要です。ゆき届いた医療を行うために必要な看護師の増員は百万人、政府の基準でも消防士の不足解消のため六万人増が必要と試算されています。
石井氏は、国連総会での青年雇用の促進に関する決議で「主な責任は政府にある」とのべていることをあげ、「本腰を入れた政府のとりくみをすべきだ」と求めました。
(細川豊史記者)