2004年2月26日(木)「しんぶん赤旗」
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来日中のカナダ在住のイラク人国際政治学者、タリク・イスマエリ教授(カナダ・カルガリー大学)は二十四日、都内で講演し、米英両国などによる無法なイラク占領を批判、中東諸国が好意を抱いている日本も自衛隊の派兵で「占領の共犯者」とみなされると表明しました。講演は中東調査会が主催しました。
イスマエリ教授は、フセイン政権崩壊を国民が歓迎しているという報道について、「その通りだ。しかしフセイン政権下でも電気や電話が使え、道路に出ても殺されなかった。今は(戦争から)一年もたつのに、電気も水もない。失業率は70%だ。こんな状態は受け入れられない」と語り、占領下で国民生活の悪化が進んでいることを批判しました。
占領を担う連合国暫定当局(CPA)がイラク人代表と会合した際も、イラク住民から「占領に対しては血の最後の一滴までたたかう」との発言が出るなど、イラク国民の怒りと不満が拡大していると指摘。最近の世論調査によると、CPAが任命したイラク統治評議会を信頼するという国民はわずか6%で、占領に反対する人も戦争が始まった昨年三月時と比べて倍以上の87%に達したことを明らかにしました。
同教授は、イラクの近現代史を振り返り、英国が二十世紀初めにも「解放」を口実にイラクに侵攻したことを指摘。「米国も『解放』を理由にしたが、国民が反米にならざるを得ないほどに国民を乱暴に扱い」、「かつての英国と同じわなに落ち、同じ問題を抱えている」と強調しました。
さらに自衛隊派兵について言及。「中東諸国の中でもイラク国民はとりわけ日本に、経済力とダイナミックな社会を持つ国として、あこがれや親密な好意を抱いてきた」と指摘し、こうした感情をもつイラク人の心を逆なでにする自衛隊派兵について、「米国の側にかかわることがもたらす結果に対処しなければならない。米国の側に加わるものはすべてある程度、占領の共犯者とみなされる」と述べました。