2004年3月5日(金)「しんぶん赤旗」
【カイロ=岡崎衆史】イラクのバグダッドとカルバラで二日に起きたイスラム教シーア派を狙った同時テロについて、イラク国内のシーア派、スンニ派両宗教勢力からは、治安対策を怠った米軍など占領軍の責任を追及する発言が続出。占領が終わらない限り安全は訪れないとの声もでています。
イラク・イスラム革命最高評議会(SCIRI)の指導者アブドルアジズ・ハキム師は三日、カタールの衛星テレビ・アルジャジーラで、「占領軍はイラク人が適切な方法で自らを守ることを許さないでおきながら、イラク人を保護することを怠った」と述べ、「占領軍には責任がある」と非難しました。
イラクのシーア派最高指導者、シスタニ師の報道担当者のサイエド・アルサーフィ師も同日、イラク人治安部隊へ治安維持のための情報提供を怠ったことを挙げ、占領軍の責任を追及しました。シスタニ師も二日の声明で、テロを引き起こした要因として占領軍の治安維持上の怠慢を指摘し、占領軍に責任があるとの見解を示しています。
一方、イラクのスンニ派権威のスンニ・イスラム聖職者協会のムハメド・アルファイディ報道担当者は二日、「米国は占領国であり、この国の治安に責任を負うことが国際的に課せられているにもかかわらず、義務を果たさなかった」と批判。その上で、「占領軍はイラクの現実を理解しなければならない。占領が続く限り安全はありえない。占領軍は撤退のための期日を設定するべきである」と強調しました。
イラクからの報道によると、バグダッドやカルバラのテロ現場には三日、犠牲者を追悼するために多数の人々が訪れましたが、中には、「米国でていけ」と叫ぶ人の姿も多数見られました。