2004年3月6日(土)「しんぶん赤旗」
【ワシントン=遠藤誠二】四日から放映が開始されたブッシュ共和党陣営の大統領選むけテレビ広告が、同時多発テロの犠牲者遺族や消防士などから非難をあびています。ブッシュ大統領は、劣勢ばん回のため本格的に広告キャンペーンを始めましたが、最初からつまずいた形です。
テレビ広告では、二〇〇一年九月十一日におきた同時多発テロで破壊されたニューヨーク・世界貿易センターのがれきや、同場所から星条旗でくるまれ消防士によって担架で運ばれる犠牲者などが映っています。
テロ犠牲者の遺族らでつくる「ピースフル・トゥモロウズ」のニューヨーク地区責任者であるコリーン・ケリーさんは、米報道機関にたいし、「気分が悪くなる」と発言。同組織の会員からは、「惨劇を政治利用するな」「テロの結果、被害を受けたのは米国民だけでなくアフガニスタン国民も同じ」などとの意見が寄せられています。
消防士らでつくる国際消防士連盟(IAFF)理事会は四日、ブッシュ政権は消防関連の予算を削減しながら、「テロ現場とそこで犠牲になった消防士を自身のイメージアップに使っている」などと批判し、広告の停止と消防士犠牲者遺族への謝罪を要求する決議をあげました。
ブッシュ陣営のヒューズ元大統領顧問は、「テロは(単なる)悲劇ではなく、われわれ国家の将来を定義づけるものだ」とのべ、対テロ戦争にとりくむ現職大統領としては当たり前のものであると主張しています。