日本共産党

2004年3月10日(水)「しんぶん赤旗」

「戦争国家」づくり鮮明

有事7法案、3協定・条約


表

 米国の干渉・介入戦争に自衛隊が武力行使をもって参戦し、自治体、民間企業・団体、国民を総動員する有事法制――。昨年六月に自民・公明の与党や民主党などが成立を強行した三法とあわせ、政府が九日に国会提出した七法案三協定・条約で、憲法をじゅうりんし、日本を「戦争国家」に変えようとする有事法制の危険な本質が鮮明になりました。

昨年6月に強行した3法

 武力攻撃事態法 有事法制全体の枠組みを示す法律です。「有事」の定義と、政府、自衛隊、自治体、民間企業・団体(指定公共機関)、国民それぞれの対処や協力について定めています。

 同法では、「有事」の定義として、(1)日本への武力攻撃の発生とその「明白な危険」が切迫している事態(武力攻撃事態)(2)日本への武力攻撃が予測される事態(武力攻撃予測事態)―と規定しています。

 政府は、米国が他国に先制攻撃を仕掛け、相手国が米軍基地の存在する日本への攻撃の構えを見せたときも「法律はきちんと動く」(石破茂防衛庁長官)と明言。「周辺事態法」などにもとづいて海外で米軍の戦争を支援する自衛隊が攻撃を受けた際も、「わが国」への攻撃とみなす考えを示しています。

 米国が海外で引き起こす戦争で、自治体、指定公共機関は戦時協力の「責務」を負い、国民は「協力」を求められることになりました。

 改悪安全保障会議設置法 「有事」への対処方法を政府の安全保障会議に進言する「事態対処専門委員会」の設置を定めました。

 改悪自衛隊法 「予測事態」の段階から、自衛隊は陣地など戦闘施設構築のために土地・家屋を強制使用できます。

新たな法案、 協定・条約

 米軍支援法案 「予測事態」の段階から、自衛隊が米軍に弾薬などの物品や役務を提供できます。自治体や民間事業者には米軍支援が「責務」として強制されます。

 支援の地理的範囲に制限はなく、「戦闘地域」での支援に道を開いています。米軍の陣地構築のための土地・家屋の強制使用も規定しています。

 特定公共施設等利用法案 民間空港・港湾の米軍・自衛隊による優先使用を保障。管理者である自治体などが軍事使用を拒否した場合、首相の権限で強制使用できます。

 政府は制限海域や飛行禁止空域も設定でき、制限海域に入った民間船舶は処罰されます。

 「国民保護」法案 米軍と自衛隊が軍事行動を自由に行うため、「国民保護」の名で国民を統制・管理、動員する法案。自治体・指定公共機関にその「責務」を課し、国民には罰則つきで協力を求めています。

 すべての自治体は「国民保護協議会」の設置や訓練の実施を求められ、平時から「戦時」への備えが強要されます。

 外国軍用品等海上輸送規制法案 「軍用品等」(武器や食糧・燃料、兵員など)を輸送している疑いのある民間船舶に対する臨検を行う法案です。

 海上自衛隊員は民間船舶の乗組員を武器で威嚇して船舶検査を行うことができます。

 改悪日米物品役務提供協定(ACSA) 米軍支援法案に伴い、米軍と自衛隊との物品・役務の相互提供を取り決めたACSAも改悪されます。現行ACSAは共同演習などに限定されています。今回の改悪で(1)「予測事態」(2)「武力攻撃事態」に加え、(3)「国際平和のための国際社会の努力の促進」(イラク戦争や対テロ戦争)などに適用範囲が拡大されました。(1)(2)の場合、弾薬提供も可能になります。

 自衛隊法改悪案

 改悪ACSAに伴い、自衛隊の米軍への物品・役務の提供範囲を(1)在外邦人の輸送(2)自衛隊施設への一時滞在(3)災害応急活動―に拡大しました。

 ジュネーブ条約追加議定書I、II 捕虜の取り扱いや非戦闘員の保護などを定めたジュネーブ諸条約を補完するもので、一九七七年につくられました。日本はこれを締結していません。

 捕虜取り扱い法案、国際人道法違反処罰法案 ジュネーブ諸条約やジュネーブ条約追加議定書に対応する法案です。


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