日本共産党

2004年3月11日(木)「しんぶん赤旗」

小泉「改革」で国民生活が壊される

参院予算委 小池議員の総括質問(大要


 日本共産党の小池晃政策委員長が九日の参院予算委員会でおこなった総括質問の大要は次の通りです。


国公法弾圧事件

小池 「憲法は宝」のビラで逮捕 自民の省ぐるみ選挙は野放し

国家公安委員長 個別案件は発言しない

小池 暗闇日本への暴走と断固たたかう

写真
「赤旗」号外を掲げて追及する小池晃議員=9日、参院予算委

 小池晃議員 先日、社会保険庁に勤める男性が逮捕、起訴されました。職場から離れた居住地で、土日や祝日にビラを配布した。これが国家公務員法で禁止した政治活動に当たるという理由です。これが男性の配布した「しんぶん赤旗」の号外です。「憲法9条は日本国民の宝です」、このビラを郵便受けに入れただけで逮捕されたわけです。

 総理にお聞きしたい。日本国憲法も世界人権宣言も、言論、表現、思想、良心の自由を保障している。これは民主主義の基本だからです。それなのに、このビラをまいただけで逮捕される。こんなことが民主主義社会で行われていいのか。

 小泉純一郎首相 私に、逮捕された理由を言わせるんですか。

 小池議員 理由じゃないですよ。こんなことがあっていいのかと。

 小泉首相 逮捕された、どうかと言われても、事実を確認しない限りははっきりしたことは言えないです。

 小野清子国家公安委員長 本件は、目黒社会保険事務所に勤務する厚生労働省事務官が、衆議院議員総選挙の際に日本共産党を支持する目的で政党の機関紙たる「しんぶん赤旗」号外および政治的目的を有する無署名の文書たる東京民報号外を各戸に配布したものです。

 このため警視庁におきましては、組織的、計画的、継続的な疑いのある国家公務員法違反容疑事件として、裁判官の発出した令状に基づいて所要の捜査を行い、現在、公訴が提起されているものです。

 国家公務員法による政治的行為の制限は、最高裁判決においても、公務員の政治的中立性を確保という国民全体の重要な利益にかかわるものであるとされています。

 警察は、このような違法行為に対して不偏不党、厳正公平な立場でその取り締まりに当たり、法と証拠に基づきまして捜査を進めたところです。不当な捜査であるという御指摘は当たらないと考えます。

 小池議員  公務員の政治活動を広く禁止する点で、そもそも憲法違反の法律です。しかし、勤務時間外に一市民としてビラを配るようなことは、今までのこの法律の運用の中でも違反ではないとしてきたんですよ。

 公務員の立場を利用した政治活動という点では自民党、どうですか。今年の参議院比例代表選挙で自民党から立候補を予定している官僚OBは、防衛庁三名、農水省三名、国土交通省三名、総務省は二名、財務省、厚労省が一名ずつ(「オー」という驚きの声)、合計十三名に上るわけですよ。

 昨年十二月に麻生総務大臣は総務省OBの立候補のパーティーでどういうあいさつをしたか。「総務省を挙げて、選挙で当選させるべく全力を挙げて頑張ります」とあいさつをしたんです。

 国家公安委員長、担当大臣がこのように選挙活動を奨励する発言をしている。もちろん調査していますね。

 小野委員長 個別の案件に関しましては発言を失礼いたします(議場騒然)。

 小池議員  大臣が公の場で自民党の候補者を省を挙げて当選させると。公務員の政治活動を省として支持しながら全く調査もしていない。野放しじゃありませんか。

 東京の立川市でもイラク派兵反対のビラをまいた市民が逮捕されている。こうした弾圧というのは、民主主義のない暗闇の日本への暴走だと思います。日本共産党は、民主主義への挑戦であるこうした暴挙に厳しく抗議をします。そして、起訴の取り下げと無罪を求めます。民主主義を守るために断固としてたたかうことを表明します(拍手)。

年金問題

小池 国民年金4.6万円が3.9万円に これで生活できるのか

厚労相 言いにくいこと言ったそのことに意味がある

小池 低すぎる水準の引上げ これが第一歩じゃないか

グラフ

 小池議員  年金問題についてお聞きします。

 今回の「改革」案では、保険料を引き上げる一方で給付はマクロ経済スライドによって削減をする。これは国民年金を含むすべての年金に適用されるわけです。しかも、すでに年金をもらい始めた人も例外じゃない。こうした人の年金も実質価値が下がっていく。これは史上初めてのことです。その結果どうなるか。

 政府によれば、二〇二三年までに15%の実質引き下げになる。国民年金で見ると、平均四万六千円の年金が三万九千円まで価値が下がっていく。今の年金ですら生活に必要な水準ではない、さらにこんな引き下げを行ったら生きていけないじゃないかと。総理、この声に一体どう答えるんですか。

 坂口力厚生労働相 今回の年金制度は、将来の少子高齢社会に対応できる年金制度をどう構築していくかということによってつくり上げているわけですから、支える側の人が減っていく中で、お互いがどう支え合っていくかということですから、それはある程度やむを得ない、難しい。出す方は増える、もらう側は減るではないかと共産党さんは言われるんだろうけれども、その言いにくいところを言ったところに今回の意味があるというふうに思っております。

 小池議員  そもそも基礎年金の給付水準が低過ぎるということは問題になっていたんです。一九九九年の十二月一日の衆議院の厚生委員会で、こういう質問をしている人がいます。「国民年金、基礎年金の水準の見直し、水準への配慮というものも大事で、現在のように生活保護者にも及ばないような基礎年金は少し問題がある、ここは努力をしなければならないんじゃないか」。これ、だれの質問だか分かりますか。坂口力氏です(「オー」という驚きの声)。坂口大臣、覚えていますか。

 坂口厚労相 そこまでは覚えておりませんけれども。しかし、時代も変わってきている、時代も変化してきている。だから、少子高齢社会の中でやっていけるように年金制度は組む以外に方法がないわけです。かつてはそれほど少子化が進んでいなかった。これほども進むとは思わなかった。そうしたときの話と今後の問題とは、かなり違ってきている。国民の皆さん方に本当のことを申し上げて御理解いただくときを迎えていると思っております。

 小池議員  二十年も三十年も昔の話じゃない、五年前なんです。五年前の段階ですでに少子化進行してたじゃありませんか。

 当時の公明新聞で大臣こう言っているんです。「来年四月から介護保険制度が導入されますが、この保険料は年金から強制的に徴収されるわけで、これは年金支給額を削減するのと同じ影響を与えることになります」「国庫負担率の引き上げと、基礎年金の給付水準の引き上げ、充実を同時に実現すべきであるというのが公明党の主張です」と、こうおっしゃっているんですよ。

 それなのに、今回、基礎年金水準の引き上げどころか15%の引き下げを盛り込んだ。当時の主張はいったいどこへ行ったんですか。五年前ですから、時代が変わったとは言わせませんよ。

 坂口厚労相 十年一昔と言いましたけれども、最近は五年たてばかなり状況は変わっているんです。将来の年金を増やそうと思えば、負担を増やさなければならない。負担をあまり増やさないでおこうとすれば、年金はある程度のところで抑えなければならない。当然のことを申し上げているということです。

 小池議員  五年前は与党だったんですよ。与党のときわずか五年前にそういう主張をしていた。本当に信用ならない。

 九九年の年金改定後、二〇〇〇年四月から介護保険が始まりました。保険料が天引きされるようになった。それから、二回にわたって老人医療費の引き上げが行われた。それなのに、年金額は物価スライドで減額をしてきたわけです。これじゃ、本当に暮らしていけないというのは当然です。

 総理、社会保障の負担が次々と増えてきている中で、老後の生活の基礎的部分を担う基礎年金水準まで引き下げる。許されるのか。低過ぎる基礎年金の水準を引き上げて安心して暮らせる水準にする。改革というなら、これが第一歩になるんじゃないかと思いますが、いかがですか。

 小泉首相 年金は破たんさせてはいけない、やはり永続的に持続させていかなくてはならない。高齢者の数も増えるし、保険料を負担する世代も減ってまいります。基礎年金にしても給付の立場と負担する立場、両方考えていかなきゃならない。

 年金だけじゃありません。医療も介護も同じです。そういう点を総合的に考えなきゃいけない問題だと思います。

道路特定財源問題

小池 一般財源化なぜ捨てた

首相 怒る人いるので検討必要

 小池議員  総理は、負担を国民にどうやって押し付けるかという議論しかない。そうじゃなくて財源がある、国庫負担の引き上げをやるべきですと言っているわけです。

 基礎年金国庫負担引き上げの財源は、与党は増税で賄うと言っていますがとんでもない。当面の国庫負担二分の一の引き上げは税金の使い方の見直しでやるべきで、私どもの提案は道路特定財源の一般財源化なんです。

 小泉総理は道路特定財源の一般財源化を主張されていました。〇二年度予算ではその一部を一般財源化したと、「だれにもできなかったことを実現した」と豪語した。ところが、その翌年から全くやっていないじゃありませんか。なぜこの主張を捨て去ったのか。

 小泉首相 全然捨て去っていませんよ。

 小池議員  捨て去っているでしょう。

 小泉首相 道路財源は一般財源化も含めて道路だけに使うということはいかがなものかと。

 小池議員  そんなこと言っていないですよ。

 小泉首相 見直すのはいいと。しかし、一般財源化するんだったらガソリン税を廃止しなきゃいけない、自動車税どうするかという問題もあるからよく検討しましょうといっているんです。

 道路財源を一般財源にしたらガソリン税払っている人は怒りますよ。そういう難しい問題があるんです。税金でやれと言うけれども、どこの税金増税させるんですか。

 小池議員  ごまかしていますよ。総理は一般財源化を明らかに主張していたんですよ。

 それから、われわれ、年金目的税にしろと言っているんじゃない、一般財源にしろと言っているんです。一般財源にしたら税率下げよって法律には書いていないんですよ。

 石油連盟のアンケートでも五割の人が特定財源の見直しを言っていて、税率の引き下げを言っている人より多いんです。これが世論なんですよ。

 道路特定財源は昭和二十八年に田中角栄氏が作った。そのときは道路舗装率は30%。今96%ですよ、簡易舗装を含めて。道路密度はイギリス、ドイツ、フランス、イタリアの二倍から三倍。国土が二十五倍あるアメリカと日本の道路予算は同じ。こんな特定財源いらないじゃありませんか。(「そうだ」の声」

 こういう例は世界だってないわけですから、道路特定財源は国の分だけで三兆四千億ある。これを暮らしを支えるために使ったっていいじゃないか、そういうことを総理もかつては主張し、一般財源化とはっきり言っていた。なぜその主張を捨て去ったのか、お答えいただきたい。

 小泉首相 一般財源化、見直すのはいいと。しかしガソリン税払っている人は一般財源に繰り入れられたら怒りますよ。

 小池議員  そんなことアンケートでは言っていない。

 小泉首相 一般財源化できる方法があれば、それは協議するのはやぶさかじゃない。ただし、特定財源というのは特定のために取られているから払っている人がいることも考えなきゃいけない。

グリーンピア問題

小池 処分ではすまされない

首相 釈然としない問題だと思う

表

 小池議員  結局、改革改革と言っているけれども、道路特定財源の一般財源化と言いながら口先だけですよ(「そうだ」の声)。一方で年金改革は国民への痛みを押し付けるだけじゃありませんか。いったいどこが改革なのか。

 しかも、メスを入れるべきところほかにもあるでしょう。グリーンピアの問題。四千億円掛け金投じておいて、あわてて処分を決めたようだが、それで済むのか。

 グリーンピア計画が打ち出されてから、歴代の厚生大臣、その地元に建設されたグリーンピアの一覧です(表)。十三カ所のグリーンピアのうち七カ所が厚生大臣の地元でつくられている(驚きの声)。このほかにも厚生省年金局長が衆議院選挙に立候補し(落選した)た宮城県の岩沼市にもつくった。偶然にしてはでき過ぎているんですよ。

 これは売却したからといって済む話じゃない、自民党の政治家の責任も含めて徹底究明する必要があると思いますが、いかがですか。

 小泉首相 グリーンピア問題も厚生年金福祉事業団の問題も、厚生大臣在任中に必要ないから廃止しろと率先して言った一人です。問題点は認識しております。だからこそ構造改革が必要だということでやっております。

 小池議員  四千億円もの箱物つくって、批判を浴びると慌てて二束三文で売り渡す、売り払うと。これで責任取ったことになるんですか。総理は口を開けば、民間民間とおっしゃいますが、これが民間だったらどういうことになるか。これだけの焦げ付き、損失を作ったら株主代表訴訟で訴えられますよ。ところが、年金では官僚も政治家もだれも責任取っていない。謝罪した者すらいない。これつくるのやめたと、売り払うと、そんなことで国民が納得すると思いますか。それで責任取ったことになるんですか。

 小泉首相 これは国民一般から見れば釈然としない問題だと思います。しかし、こういう施設をつくってくれるということには地方の自治体も住民も歓迎するんです。だから、国会の委員会で各党が付帯決議でこういうのつくれつくれと決議してきたんです。ここが政治の難しいところなんです。

 民間に任せることは民間に任せて、地方自治体でできることは地方にやらせて、さもなければ売り払った方がいい。このまま続けていったらもっと負担が増えます。そういう問題なんです。

 小池議員  答えてない。この問題でだれも謝罪すらしていない、責任をだれも取っていない、これでいいのか。国民、納得するのか。売り払ったらそれで済むのかと言っているんです。答えていただきたい。

 小泉首相 売り払うべきものは売り払った方が将来の負担は少なくなる。そういう点については共産党と立場は違いますけれども、私はこのグリーンピア等の改革は必要だと思います。たとえ安く売り払っても、このまま突っ込んでいけばもっと負担が増えますから、早いところで撤退すべきだと思っております。

 小池議員  共産党はこんなものつくれなんて一言も言ったことない。とんでもないこと言わないでほしい。年金マネーを食い物にしてきた官僚と政治家の責任は重大です。徹底解明が必要です。

 委員長、歴代厚生大臣、中でもこの疑惑のある田中正巳氏、それから増岡博之氏について参考人招致を求めます。

 片山虎之助委員長 理事会でよく協議いたします。

雇用問題

小池 100万人の請負会社の労働者 全国転々、労働条件も劣悪

首相 それぞれ意見ふまえて対応検討していくべき

小池 監督官庁も規制法もない 社会の基盤を揺るがす

グラフ

 小池議員  雇用問題についてお聞きをします。

 最近の求人の実態を見ますと、昨年十二月の厚労省の調査では、求人全体のうち派遣が5%、請負が28%もある。大阪梅田の安定所では五割超えているわけです。横浜職安の調査では、製造業の求人の六割以上が請負であります。

 請負というのは、メーカーなどの製造ラインや営業を一括して労働者を送り込むわけです。ある雑誌によれば、リコーの御殿場事業所では製造部門七百名のうち四百名が請負だと。富士ゼロックスの海老名事業所は、生産ラインはすべて請負。NEC米沢工場では生産要員百四十人のうち半数が請負。ソニーの生産子会社、ソニーイーエムシーエス、社員一万三千人とほぼ同数の請負社員が働いている。日本の大手の電機や自動車などの工場は今や多くが業務請負。請負業界は急成長していて、規模は一万社、百万人と言われている。

 総理は、昨年十一月二十六日の経済財政諮問会議でこう言っています。「若者の雇用は足りなくなるはず、それなのになぜ失業率が高いのか、やる気がないのか、能力がないのか、両方あるかもしれないけれども」と、こう言っている。

 しかし、求人の実態はいま三割、四割は非正規雇用なんですよ。こういう実態があるわけです。条件が合わずに仕事に就けないという若者が出るのも不思議はない。それでも総理は、これは若者のやる気や能力の問題だというふうにおっしゃるんですか。

 小泉首相 やる気のない面も能力のない面もあるでしょう。だからこそミスマッチ、求人があるんだけれどもその就職の糸口が見つからない人に研修なり訓練が必要だと言っているわけです。まずやる気を起こしてもらわなきゃいかぬと。新しい求人に自分の能力が合わないんだったらその能力を身につけるために研修なり訓練が大事だと。そういう点を厚労省も真剣に考えて若者の雇用、自立に対して積極的な対策を練っているところです。

 小池議員  全く実態ご存じない。本当にとんでもない発言だと思いますよ。派遣や請負の労働者の実態どうなっているか。どこで働かされるのかも、どんな働き方するのかも分からない。

 私は、四年間で八カ所の職場を転々としたという話を若者から聞きました。青森で働いていたのを、明日から佐賀へ行ってくれと言われたという話も聞きました。労働条件も劣悪です。あるチラシでは「稼げます、月収二十万円以上」となっているんですが、小さい字で「稼働二十一日、残業六十時間、休日出勤」と(書いてある)。社会保障の加入はこれ一割以下なんです。

 若い労働者を過酷な条件で働かせて、言わばピンハネをするようなやり方が日本じゅうでまかり通っている。日本の名だたる大企業がこういう労働者を今製造業では多数使っているわけですよ。総務省の就業構造基本調査では、この五年間に正規雇用は約四百万人減っている。その一方で派遣、契約、嘱託、パート、アルバイトが約三百七十万人増えている。まさに四百万人ぐらいの雇用が正規雇用から非正規雇用に置き換わっている。

 総理、こういう請負や派遣というのが日本の製造業の主流になってきている、求人の大半を占めている、これを異常なことだというふうに総理は思われませんか。二十一世紀を担う日本の若者をこういう細切れのピンハネのようなやり方で働かせることが主流になっている。私は、こんなことを許してはいけない、こんな労働の切り売りを絶対許してはいけない、そう考えますが、いかがですか。

 小泉首相 ピンハネとかそういうのはちょっと言い過ぎだと思いますけれども、労働条件の改善は今後よく心しなきゃいけないと思っております。正規社員が減って派遣社員が増えているというのも、これは一つの時代の変化の現れだと思います。一概に悪いとは言えませんが、労働条件の改善については今後十分配慮しなければならないと思っております。

 坂口厚労相 派遣と請負とはかなり違います。派遣は上限三年になっていて、三年を経過するような人たちはそこで本採用にしてくださいということになっているわけですから、一つの道筋の人もあるわけなんです。

 請負の方は、一つの企業としてそこで働いているわけですから、その人たちがその企業の社長なり上司から命令を受けて仕事をするということでなければならない。もしもその人たちが派遣業のように行き先の工場長だとかそういう人たちの命令を受けてやっているということになれば、これは疑似派遣で本当の請負ではないということですから、明確に区別をしていかなければいけない。そこは取り締まっていかなければならないと思っております。

 小池議員 自然に増えてきたんじゃないんです。この間、法改正を繰り返して「規制緩和」をどんどんどんどん進めてきて、こういう非正規雇用を大きな流れに政府がつくってきたんですよ。それがこういう結果になっている。契約が終われば正規に雇用されるなんてとんでもない話だ(「そうだ」の声)。そんなの本当にごく一握りの人で、ほとんどの人は使い捨てになっているんですよ。それが実態なんです。

 こういう労働を日本の若者の中にはびこらせていいのか。二十一世紀の日本の根本問題だ。しかも、今主流になりつつある業務請負について監督責任持っている大臣いますか。いたら手を挙げてください。(だれも手を挙げず)いないんですよ。この業務請負というのはどこも監督官庁ない、法律もないんです。これが今の実態なんです。日本の若者がこれだけ主流になっている働き場所をだれも大臣が監督責任持っていない。こんなに激増している中で監督官庁もない、規制する法律もない。労働条件の過酷さから過労死事件まで起きている、職業能力を高めることもできない。こんなことしていたら本当に日本の経済にとってマイナスになる、日本の社会の基盤を本当に揺るがすことだと。

 監督大臣いませんから総理に答えていただくしかない。こういう問題について全く野放しになっている、監督官庁もない、規制する法律もない、こんなことでいいと思いますか。いかがですか。

 坂口厚労相 請負というのは一つの企業でありますから、そこで人を雇っておればそれは労働基準法の適用になりますし法律もすべてかかってきます。だから、そういう法律を守っていただくということでして、そういう意味では厚生労働省関係するわけです。ですから、そのみなさん方が他の企業の中で働いているときに、そこの企業の工場長なりの指揮命令下に入っているということになれば、それは問題だということを申し上げているわけでして、それは一つの労働形態でありますから、私はそれはいいんではないかと思います。

 小池議員  厚労省は監督官庁じゃない。総理、答えてくださいよ。これは、請負業というのは業として規制する法律もないんです。こういう実態でいいんですか。一般的な労働者に対する行政ですませるというのじゃなくて、これだけ百万人の労働者が働いている業界が全く何の規制もない、野放しになっている、これが実態なんです。そのことについてどうなのかとお聞きしているんです。

 小泉首相 監督官庁とかどうかということについては答弁は差し控えますが、この派遣社員の問題についてはもっと規制を緩和してくれという声も強いんです。一年ではなくて今回三年に延ばしたでしょう。あるいは派遣社員の規制を改革することによってさらに雇用が増えるということもあります。だから、今後、今言った問題についてはそれぞれ厚労省あるいは他の官庁等、今の意見を踏まえてどういう対応が必要かということについては検討していくべきじゃないかなと思っております。

 小池議員  EU(欧州連合)ではその派遣に対する指令案が提案されています。派遣先労働者との均等待遇原則が明記されている。一方では、日本ではこういう労働者に対する規制は本当にルールがないんです。これは日本社会の二十一世紀にとって非常に重大な問題だ、ということを申し上げて、質問を終わります。(拍手)


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