2004年3月14日(日)「しんぶん赤旗」
米英のイラク占領に加担、合流するため陸上自衛隊の主力部隊第二陣約百九十人が十三日夕、政府専用機で北海道・新千歳空港を出発、クウェートに向かいました。
数日後、イラク南部サマワに入って先発の派遣部隊と合流、今月下旬にも活動を始めます。
出発に先立ち、航空自衛隊の千歳基地で行われた見送り式では家族約八百五十人、同基地隊員約八百人が見送りました。
第二陣は給水隊を中心に、警備、衛生などの隊員で構成。通信隊などに所属する女性隊員十一人も含まれています。
陸自はアントノフ124輸送機で浄水セットなどを空輸します。
第二陣の隊員はクウェートで浄水セットなどの機材を受け取り、陸路サマワへ向かいます。
十三日に本隊主力部隊の第二陣が出発した陸上自衛隊イラク派兵部隊はすでに、先遣隊(約三十人)、施設部隊を中心とした本隊先発隊(約九十人)、主力部隊第一陣(約百四十人)がサマワへの展開を終えています。今回の第二陣に続き、月内に第三陣の派兵も予定。合計で約六百人弱がサマワで活動することになります。
「現地の治安情勢には今後とも最大限の注意を払っていく」。防衛庁は十一日の衆院イラク特別委員会に現地情勢を報告。占領軍に加わることによるテロ攻撃に、神経をとがらせています。
二重のフェンスと三重の開閉式ゲートを設けた“要塞(ようさい)”というべき宿営地は、すでに一部が完成。オランダ軍キャンプ地に駐留していた部隊は、自前の宿営地に移り、その完成に向け、建設工事を進めています。
陸自部隊が使用する軽装甲機動車や水タンク車など約七十台を海上輸送している海上自衛隊の輸送艦「おおすみ」も十五日ごろにクウェートに到着する予定です。
航空自衛隊は、占領軍へのミサイル攻撃が続くバグダッド国際空港への輸送は当面、見送る方針です。
そのため、イラク南部とクウェート間の空輸を開始(三日)。クウェートのアリ・アルサレム空軍基地からイラク南部のタリル空港まで、C130輸送機で医療機器を輸送しました。
政府は、空自の輸送について「人道復興支援物資が中心」と強調します。しかし、米占領軍が手がける大半が軍事物資であることから、「このままだと、あと数回の輸送で(人道復興支援物資の輸送は)『開店休業』状態になる可能性もある」(「日経」四日付)と指摘されています。
一方、イラクでは現在、「今後数カ月で、十四万人の連合軍がイラクを離れ、十一万人の兵士がその代わりに到着する」(米軍準機関紙「星条旗」電子版、一月十二日付)という大規模な部隊交代が進んでいます。
日本共産党の赤嶺政賢議員の追及に、石破茂防衛庁長官は「兵員輸送のニーズはありうる」ことを明らかにしました(十一日、衆院イラク特別委員会)。
自衛隊のイラク派兵が本格化するなか、イラクとその周辺国では逆に、占領軍の撤退を求める動きがいっそう強まっています。
クウェートで二月に開かれたイラク周辺諸国外相会議が発表した声明は「国連の役割を増進すること」を強調。「一刻も早く占領軍撤退のための状況を準備すること」を訴えました。同会議には、サウジアラビア、ヨルダン、シリア、トルコ、イラン、クウェート、イラクの七カ国が加わっています。
イラクとその周辺国が「占領軍撤退の準備」を求めているのに、占領軍に加担・合流する派兵をいっそう本格化させる―。小泉・自公政権の逆行ぶりが示されています。
2003年
12月9日 政府が派兵の「基本計画」を閣議決定
18日 防衛庁が派兵計画の詳細を定めた「実施要項」を決定
19日 陸海空3自衛隊に派兵準備命令、空自先遣隊に派兵命令
26日 空自先遣隊が出発
2004年
1月9日 陸自先遣隊、空自本隊に派兵命令
16日 陸自先遣隊が出発
22日 空自本隊の第1陣が出発
26日 陸自本隊、海自艦隊に派兵命令
空自本隊の第2陣が出発
2月3日 陸自本隊の先発隊が出発
20日 海自艦隊が陸自の車両・物資を載せ、出港
21日 陸自本隊の主力部隊第1陣が出発
3月13日 陸自本隊の主力部隊第2陣が出発