2004年3月14日(日)「しんぶん赤旗」
「長官交際費もぼくらの保険料で? それで国民に痛み押し付けとは」―厚生、国民年金の保険料が、社会保険庁の公用車購入費から長官の交際費まで年金給付以外の目的に使われていたことに批判が高まっています。十三日、自交総連東京地連南部ハイタク共闘会議が主催した年金改悪案の学習会でも怒りの声が上がりました。
|
年金保険料の転用問題では、一九九八年度から二〇〇二年度の五年間に、社会保険庁長官の交際費として二百五十万円が支出されています。内訳が明らかな〇二年度を見ると、香典代三十七万五千円、退官記念品代六万円、堤修三前長官の県人会への参加費一万円も含まれていました。
学習会では講師の全日本年金者組合政策委員・林幸雄氏が、保険料を原資とする積立金が株式投資で六兆円の損失を生んだことや、グリーンピアなどハコモノづくりに浪費されたこととあわせて、この事実を紹介しました。このうえ保険料を一・三五倍に引き上げ、実質15%の給付カットを押し付けるという改悪案の内容にふれ「怒りをもって年金改悪案を廃案に追い込もう」と訴えました。
「交際費まで保険料で出してるなんて誰が見ても納得できないね」というのは参加した日月東交通労組委員長の関豊文さん(49)。改悪案が通れば定年まで毎年約七千円ずつ保険料が上がる見込みです。「約百五十兆円もの積立金は計画的に取り崩し、給付と負担軽減にまわすべきだ。改悪は絶対許せないよ」
高砂自動車労組委員長の柿沼勝広さん(63)は、今年八月から年金を受ける予定です。「国民から見たらとんでもない。グリーンピアの破たんでも誰も責任とった人がいないっていうんだから不思議だよ」と怒ります。「職員宿舎も保険料で建ててるって話はおかしい。必要っていうなら一般財源でやるべきだ」と。
同労組書記長の片岡敏康さん(52)は「改悪を阻止するためには現役労働者が怒って立ち上がる必要がある。職場でも地域でも宣伝と署名を広げ、国民的たたかいにしていきたい」と話していました。
公用車購入に7年で8億円 |
公的年金や健康保険の保険料が社会保険事務費として給付以外に使用されている問題で、社会保険庁長官の交際費や職員の外国旅費にまで流用されていたことが十二日、分かりました。長妻昭衆院議員(民主)の質問主意書に対する政府答弁書。
これによると、交際費として一九九八―○二年度に二百五十万円を支出、○三―○四年度に百二十万円が使われる見込み。九八―○二年度に一億一千二百万円を支出された外国旅費は、○三―○四年度に五千三百万円使用する予定です。公用車購入には、九八―○二年度に四億一千五百万円が使用され、○三―○四年度にも予算額で三億九千八百万円が計上されています。
このほか、九八―〇二年度に四十施設の整備に使われた宿舎整備は、○三―○四年度に三十一億三千百万円が充てられる見通し。
国民年金法は、保険料徴収や年金給付に必要な事務費は一般会計で賄うと規定していますが、財政構造改革法で九八年度からは、一般会計で賄うのは職員の人件費などに限定されました。ところが、同法が凍結された後も宿舎建設や公用車購入にまで保険料の流用が続けられています。