日本共産党

2004年3月17日(水)「しんぶん赤旗」

てんかん患者の保護帽

差別なく公費で支給を

大阪の守安さんのたたかい


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大阪争議団の行事に参加した守安瞳さん(後列左2人目)。その右は母親の加寿子さん=2003年8月

 てんかん患者には発作・転倒から頭部をまもる特殊な帽子を必要とする人がいます。その保護帽を「公費で支給してほしい」と、大阪府泉大津市の守安瞳さん(23)と両親がたたかっています。

 てんかん患者は全国に百万人。けいれんや意識を失うなどの発作を起こす病気です。転倒し重傷となる場合もあります。瞳さんは昨秋、発作で転倒。メガネのつるがちぎれるほどの激しさでした。そういう瞳さんにとって保護帽は必需品です。

 保護帽はウレタンなどでできており、ラグビー選手が着けているヘッドギアに似ています。瞳さんは発作がひどくなった中学三年のころから成長にあわせ、特注品を買いかえてきました。

 瞳さんの場合、府の福祉制度で十八歳まで保護帽が支給されました。いまは支給されません。

「制度の谷間」に

 保護帽は身体障害者福祉法・児童福祉法で支給されます。しかし、てんかん患者は対象外です。てんかんでも肢体不自由や重度以上の知的障害で在宅の人は支給されます。瞳さんは知的障害ですが、中度で施設にいるため対象外。「制度の谷間」に落ちているのです。

 瞳さんの両親は二〇〇一年、義足や義眼のように保護帽の費用も健康保険で支給するよう社会保険事務所に申請しました。これを、同事務所は「転倒した場合の負傷防止であり、てんかん治療そのもののためではない」として却下。不服申請も実らず、翌年、守安さんは社会保険事務所を裁判で訴えました。

 守安さんの代理人である半田みどり弁護士は被告の主張に反論します。 「被告はてんかんを発作だけに狭く解釈しています。てんかん治療は精神・神経学的症状への対処が必要です。保護帽を着けることで転倒への恐怖心が除かれ、行動範囲が広がりストレスにも対応できる。精神症状を抑え改善するのに欠かせません。保護帽はたんに負傷防止にとどまらない治療効果があるのです」

 守安さんの運動を支援する動きが広がっています。日本てんかん協会大阪支部は有志で裁判を毎回傍聴しています。同支部の河本文子さんは「守安さんは、これまで光の当たらなかった問題の解決に先陣を切ってくれました」と語ります。

社会保障として

 母親の加寿子さん(56)は「保護帽の費用は、たかが一万五千円といわれるかもしれません。しかし、働いて生活費をまかなえない娘にとっては大きいのです。でも、裁判の方がもっと費用がかかるのも事実。だけど、保護帽をてんかん患者にも差別なく社会保障として支給してほしい。その思いが強いのです」

 その思いにこたえて労働争議を主にたたかう大阪争議団共闘会議は去年六月、守安さんの加盟を受け入れました。裁判傍聴などでたたかいを励まし、十八日には争議団総行動で堺西社会保険事務所に抗議にいきます。海老名広信記者


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