2004年3月20日(土)「しんぶん赤旗」
【カイロ=岡崎衆史】もうもうと白い煙を出しながら燃え上がるビル、路上の爆発による大穴、担架で運ばれる負傷者―。十七日夜、イラクの首都バグダッドのマウント・レバノン・ホテルが爆発し、米軍発表で七人が死亡しました。イラク占領に反対する武装勢力の犯行との見方が有力です。
二十日のイラク戦争開始一周年を前に米占領下のイラクでは占領への抵抗やテロ攻撃が強まっています。攻撃は、米兵、同盟軍、占領当局者にとどまらず、イラクの警察や治安部隊、占領当局に勤めるイラク人通訳など「占領の協力者」にも対象を拡大。十七日のホテル爆発や約百八十人が死亡した二日のバグダッドと南部カルバラの爆弾テロなど、一般市民を狙ったテロも頻発しています。
米軍は、こうした事態にほとんど手を打てないままです。テロリストを捕らえるとして実施している「掃討作戦」は人々の怒りを呼び、抵抗とテロの要因をつくりだしています。
米兵は、「テロ容疑者逮捕」を口実に、民家に押し入り住民を逮捕したり、イスラム教寺院に侵入し器物を破壊、あるいは村をまるごと有刺鉄線で囲い込んだり、住民を殺害するなど、まさにやりたい放題。イラク人の米占領軍への反発が強まるのは当然です。
一方、治安悪化とともに、生活物資の値上がり、六割から七割に達する失業、電気・水供給などの社会基盤整備の遅れなど、本格的な夏を前に、国民の困難が増し、占領体制への怒りを広げています。
こうした中、バグダッド発行のイラク・トゥデー紙のムスタファ・アルラウィ元編集長は、レバノン紙デーリー・スター十一日付(電子版)に寄稿し、「いまできることは名誉を回復すること、敗北を認めることだ。イラク人だけがイラクのことを決めることができる」と述べ、米国に対しイラク占領を早急に終えるように求めています。