2004年3月22日(月)「しんぶん赤旗」
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小泉自公内閣は、新年度予算案に、六十五歳以上の年金受給の高齢者に対する課税の強化を二〇〇五年一月からおこなうことを盛り込みました(別項)。年金受給者から新たに税金をとる改悪ですが、じつは、自治体独自の医療・福祉サービスの利用料の増加にもつながる改悪です。
政府の年金課税の強化で、現在非課税の世帯で新たに所得税や住民税の課税対象となる世帯が生まれます。
それと連動して、控除がなくなり所得が計算上増えることで、住民税をもとに計算される国保料が引き上がる場合があります。また、非課税から課税世帯になることで、介護保険料の引き上げにもつながります。
日本共産党川崎市議団の市古てるみ議員は、八日の市議会で、現在非課税の年収二百五十万円のモデル世帯(夫婦とも六十五歳以上で一方が控除対象配偶者。収入は年金のみ)を、同市にあてはめた場合の影響を市当局に質問しました。
その結果、(1)所得税・住民税で年間約五万九千円の増税(2)国保料で約一万四千円の負担増(3)介護保険料で約二万九千円のアップとなり、年間約十万二千円もの負担増になることが分かりました。
国保・介護保険料での負担増については、坂口力厚生労働大臣も国会(十九日の衆院厚生労働委員会)で「急激に増えることは避けなければならない」として、市町村に緩和措置を要請する方針を示しました。
しかし、負担増はこれだけではありません。市古議員は先の議会で、市当局に市独自の老人医療費助成制度や高齢者福祉サービスへの影響をただしました。
市の老人医療費助成制度では、六十五歳以上七十歳未満を対象に、市民税の課税状況によって医療費自己負担の割合や一カ月間の自己負担限度額が異なります。
市の高齢者福祉サービスのうち、紙おむつ支給や住宅改造、緊急通報システムは、所得に応じて利用料が異なる「応能負担」になっています。
市当局は答弁で、老人医療費助成でも、「応能負担」になっている高齢者福祉サービスでも、年金課税の強化で負担増になる高齢者が出てくることを認めました。
市古議員は「市の住宅改造サービスでは五倍の負担増になる場合もあります。他の自治体でも状況は同じではないでしょうか。国は、低所得の高齢者に、税と保険料と利用料で三重苦を強いる年金課税の強化を中止すべきです。また、市は住民への影響を詳細に把握して激変緩和策を急ぐべきです」と話しています。
小泉内閣の年金受給の高齢者への課税強化は(1)年金受給者が課税されない最低保障額を年間百四十万円から百二十万円に引き下げる(2)年間所得一千万円以下なら一律五十万円を控除する「老年者控除」を廃止する―というものです。