2004年3月23日(火)「しんぶん赤旗」
日本共産党の小池晃政策委員長は、二十一日夜放送のNHKスペシャル・シリーズ年金第三回「討論・制度をどう改革するか」に出演し、与野党の政策責任者らと、年金問題について討論しました。
政府の年金改悪法案について、自民党の額賀福志郎政調会長は「抜本改革のスタートだ」と合理化しました。
小池氏は「結局、負担増と給付減の帳尻合わせをしただけだ」とのべ、保険料引き上げ、給付引き下げの改悪に反対。「『マクロ経済スライド』という形で、自動的に15%給付(水準)を下げ、保険料は毎年上げていく。政治の知恵がまったくない」とのべ、「『改革』の名に値しない」と批判しました。
番組では、最低保障年金を消費税でまかなう民主党案も紹介され、改革のあり方が議論になりました。民主党の枝野幸男政調会長は「保険料を上げるのではなく、消費税ですべての人に負担してもらう」とのべました。
他党も次々と消費税増税を容認。自民・額賀氏は「消費税のことも含めて財源を考えていきたい」と発言。公明党の北側一雄政調会長は「消費税については、年金だけでなく、介護、医療など社会保障全体の費用をどうまかなっていくのかという中で、議論しなければいけない」とのべました。社民党の阿部知子政審会長は「わが党案も民主党案に近い」「消費税も財源の一つとしてありうる」とのべました。
小池氏はこれに反論しました。民主党案については、「最低保障年金制度というのは、私たちも(一九)八三年からつくるべきだと主張してきたが、消費税を財源にするということになると、暮らしを壊す税金で年金を支えることになる。企業が半分払っている保険料が、消費税になると企業負担がなくなるという問題点もあり、賛成できない」と指摘しました。
小池氏は、基礎年金の国庫負担割合を二分の一に引き上げる財源について、「歳出の徹底的な見直しでやるべきだ」と指摘。公共事業の無駄遣いを削ること、道路特定財源の一般財源化、軍事費の削減などを提案しました。
日本共産党が提案している最低保障年金の財源については、「大企業や高額所得者に負担を求めるのが、正しい道だ」とのべました。
改革の方向性について、小池氏は「リストラが進み、フリーターが増え、年金の支え手が減っていることに歯止めをかける」べきだとのべ、低賃金労働者を増やす財界・大企業主導の雇用政策をやめさせることを提起しました。
番組では、保険料の無駄遣いを厳しく批判する視聴者の意見を紹介しました。与党側は「(年金積立金でつくった)グリーンピアは全部廃止する」(額賀氏)と弁明。「年金マネーに群がって、ハコモノづくりをやってきた官僚、政治家、誰一人として、責任をとっていない」という小池氏の指摘に、まともに答えることができませんでした。
小池氏は「百七十兆円にものぼる膨大な積立金の無駄遣いをやめ、給付に活用すべきだ」と主張。年金保険料の無駄遣いにもふれ、「五兆六千億円が、年金給付以外に使われたことに、誰も責任をとらず、国民に痛みを押しつけるのは絶対許されない」と強調しました。
討論では、女性と年金をめぐる問題についても議論になりました。パート労働者への厚生年金適用問題について小池氏は「賃金格差を正さずに、適用拡大していけば、負担増にしかならない。男女の賃金格差の解消、あるいはパートと正規労働者の同一労働同一賃金ということをしっかり進めていかなければいけない」とのべました。