2004年3月26日(金)「しんぶん赤旗」
【ワシントン=遠藤誠二】二〇〇一年九月の同時多発テロをめぐるブッシュ米政権の対応を検討する国家調査委員会の二十四日の公聴会で、リチャード・クラーク元テロ対策担当大統領補佐官が証言し、公の場でブッシュ政権をきびしく批判しました。
クラーク氏は、「ブッシュ政権発足後、最初の八カ月はテロを重要問題としてとらえていたが、緊急だとは考えていなかった」と述べ、「CIA(中央情報局)のテネット長官と私は、情報部の報告をもとに大統領と政権指導部にアルカイダの脅威は緊急を要すると認識させるためにかなり努力した」が、徒労に終わったと説明しました。
クラーク氏は、二〇〇一年一月に検討していたテロ対策は9・11事件まで政権中枢でまともに取り上げられなかったとし、「すべてが同時テロの後だった。なぜ当時できなかったのか」とブッシュ政権を非難しました。
そして、「イラクに侵攻することでブッシュ大統領は対テロ戦争を著しく傷つけた」と強い口調で語りました。
クラーク氏は、最近出版した著書やテレビでブッシュ大統領のイラク戦争を鋭く批判。そもそも対テロ対策に消極的だったのに、9・11以後になってテロとフセイン政権を結びつけようとしたなどと指摘し、米国内で大問題になっています。この日の証言は公式の場での発言であり、ブッシュ政権をさらに追い詰めるものとなっています。