2004年3月29日(月)「しんぶん赤旗」
欧州連合(EU)のプローディ欧州委員会委員長(元イタリア首相)はイタリア紙コリエーレ・デラ・セラ二十七日付に掲載された同紙あて書簡で、イラクからのイタリア軍撤兵を求めると同時に、戦争による国際紛争の解決を放棄した同国憲法を順守することが重要だと強調しました。
イタリアはスペインと並び、米英両国に次ぐ主要なイラクへの派兵国です。スペイン次期首相の撤兵表明に続いて、イタリアの有力な政治家でもあるプローディ氏がイタリア軍のイラク撤兵と自国の憲法順守を求めると発言したことは注目されます。
同氏はイラク派兵の継続か中止かについて、「(野党中道左派連合の)選択はこの戦争への参加を終了することであると言うことにためらいはない」と指摘。その理由にイラク戦争が国連の承認もない「正当な根拠のない違法な戦争」だったことを挙げました。
国際紛争の解決手段として戦争を放棄するとしたイタリア憲法は、「五十年以上たってもその価値を全く失っておらず、むしろ時がたつにつれてますます強い現代性を帯びてきた」と述べて憲法順守を呼び掛けました。
スペイン総選挙でイラク撤兵を掲げる社会労働党が勝利したことで、約三千人を派兵しているイタリアでも撤兵要求が強まっています。二十日には約二百万人がローマでデモ行進し、撤兵を求めました。
派兵国のうちニカラグアがすでに撤退し、ホンジュラスも撤兵を表明。ポーランドのクワシニエフスキ大統領は、イラクの大量破壊兵器問題で「われわれはだまされた」と米英を批判しました。
プローディ氏の発言は、イラク撤兵がますます世界の本流になりつつあることを示しています。