2004年3月29日(月)「しんぶん赤旗」
欧州連合のプローディ欧州委員会委員長(元イタリア首相)がイタリア紙コリエーレ・デラ・セラ二十七日付掲載の同紙あて書簡で、イラク撤兵を求めると明言し、戦争放棄の平和憲法の順守を打ち出したことは、この間の反戦世論にも沿った主張であり、注目される動きです。同氏は六月の欧州議会選挙に出馬はしないものの、選挙戦でイタリアの野党中道左派連合「オリーブの木」の代表を務めるイタリア政界の重要人物です。
プローディ氏は「イラク占領は正当な根拠に欠ける非合法な戦争の継続である」と強調。「国連や他のいかなる国際機関の承認もないことが介入から合法性を奪った」と述べました。
また「欧州のあらゆる国民がイラク戦争に反対を表明していた」と語り、「オリーブの木」の政権なら「戦争を承認せず参加しなかっただろう」と語りました。
一方、現状ではイラク復興への「国際社会の介入」には「軍事力の行使も予見される」としています。しかし「それが合法と考えられるための不可欠の条件は国連の権限のもとで承認され、実施されることだ」とクギを刺しました。
また世界の平和と戦争を考える上で「イタリア国民に提供された最も確実な基準点はわれわれの憲法だ」と述べ、戦争放棄を定めた憲法第一一条の全文を引用しました。
憲法から(1)戦争を非合法、不道徳として拒否する(2)国際紛争は政治的手段で解決する(3)武力行使は国際社会の承認によってのみ認められる―という原則を引き出せると訴えています。
イタリアのベルルスコーニ右派政権はブッシュ米政権に追随し、イラクに派兵しました。しかし国民の多数はイラク派兵に反対しており、平和運動は「憲法を守れ」をスローガンに、米国の戦争に協力しないよう求めてたたかってきました。