2004年4月2日(金)「しんぶん赤旗」
【ワシントン=浜谷浩司】イラクのファルジャで米民間人が殺害され、住民がこれを歓迎したとされる事件は、米国に強い衝撃をもたらしました。主要テレビ局はニュース番組のトップで事件を報じました。燃える車から引きずり出した遺体を、棒でたたき、車で引きずり、橋につるした映像。「これが戦争の現実だ」と述べるニュースキャスターもいました。
米国のメディアは、ソマリアで一九九三年に起き、米軍の同国からの撤退につながった米兵襲撃事件とダブらせ、世論の動向に注目しています。
しかし、メディアは「戦略的重要性で、イラクはソマリアとは比較にならない」(ABCテレビ)とし、事件が米占領政策を左右するとみる見方は多くありません。
ホワイトハウスのマクレラン報道官は同日、事件について、「米国の意思を揺さぶろうとしても無駄だ」と表明。「イラク国民は米国が駐留し仕事をやり遂げることを望んでいる」と述べ、きわめて例外的な事件だとの認識を示しました。
バグダッドで会見した占領当局のキミット准将も、ファルジャが旧政権の拠点であり、事件にかかわったのは「住民の中でもごく一部だ」と強調しました。