2004年4月3日(土)「しんぶん赤旗」
日米地位協定協議の合意骨子 二日の日米地位協定協議の合意の骨子は次の通り。 一、一九九五年の日米地位協定運用改善合意に基づき、米兵容疑者が起訴前に引き渡された場合、捜査権限を持つ米軍司令部代表者が日本側当局による取り調べに同席 一、起訴前の身柄引き渡しを日本側が要請する可能性がある段階でも、米軍司令部代表者は取り調べに同席 一、九五年の合意で引き渡しの対象として「その他特定の場合」とされた部分は、いかなる犯罪類型も排除されないと確認。米側は日本側の身柄引き渡しの要請を十分に考慮する |
日米両政府は二日、外務省で、日米地位協定にもとづく刑事裁判手続き問題に関する交渉をおこない、日本の警察が起訴前に米兵容疑者の身柄を拘束して取り調べる際、米軍司令部代表者の立ち会いを認めることで合意しました。
日本では認められていない取り調べ段階での弁護士などの立ち合いを米兵には認めるというものです。
今回の交渉は、二〇〇三年五月に沖縄で起きた米兵による女性暴行事件を受け、米軍の治外法権的特権を定めた地位協定の改定を求める世論が高まるなかで、同年六月に始まりました。同協定は、米兵容疑者が米軍基地に逃げ込むなど米側に身柄がある場合には、起訴前の日本側への引き渡しを認めていません(一七条五項C)。米軍基地が集中し、米兵犯罪が頻発する沖縄県は、日本側が要請すれば、米側は起訴前の身柄引き渡しに応じるよう協定の改定を求めています。
ところが、日米両政府は、地位協定の改定要求には応じず、「殺人又は強姦(ごうかん)」の凶悪犯罪に限って起訴前の米兵容疑者の身柄引き渡しに米側が「好意的考慮」を払うとした「運用改善」(一九九五年十月合意)の「円滑化」に関する交渉を開始しました。
交渉では、身柄引き渡しの決定権が米側にあるという「運用改善」の大問題を放置したまま、米側が逆に、米兵容疑者の「権利保護」のため、取り調べ段階で通訳や弁護士など米軍関係者の立ち会いを認めるよう要求しました。
日本側は九五年の「運用改善」で、凶悪犯罪ではない「その他の特定の場合」に米側が身柄引き渡しに「十分に考慮」するとした犯罪の種類を明確化するよう提起しました。しかし、今回の交渉でも、「運用改善」の内容を改めて確認しただけで、具体的な合意はありませんでした。