日本共産党

2004年4月3日(土)「しんぶん赤旗」

2004年度の「思いやり」予算

中小企業より米軍が大事


 日本経済の主役である中小企業向け予算の一・四倍にも膨れ上がっている在日米軍への「思いやり」予算――。二〇〇四年度の内容は、国民の暮らしには冷たく、米軍には「思いやり」を尽くす小泉・自公政権の実態を改めて明らかにしています。



「思いやり」予算(2004年度)で建設を計画する主な米軍施設
三沢基地(81億円、青森県)

【継続】家族住宅、整備用格納庫、駐機場、第2滑走路(調査)
横田基地(26億円、東京都)

【継続】消防署、営繕工場、可燃物倉庫、整備用格納庫、体育館(設計)、機器工場(同)
キャンプ座間(19億円、神奈川県)

【継続】家族住宅、管制塔、教育施設(設計)
厚木基地(11億円、同)

【継続】消防署、整備用格納庫、駐機場
池子住宅地区(4億円、同)

【継続】橋りょう、小学校(調査)
吾妻倉庫地区(34億円、同)

【継続】貯油施設
横須賀基地(75億円、同)

【継続】家族住宅、体育館、艦船部品工場、電子機器工場、塗装工場、12号バース延伸工事、家族住宅(調査・設計)

【新規】独身下士官宿舎(調査)
相模原住宅地区(13億円、同)

【継続】家族住宅

【新規】家族住宅(調査)
浦郷倉庫地区(5億円、同)

【継続】車両工場(設計)
鶴見貯油施設(1億円、同)

【継続】貯油施設
広弾薬庫(2億円、広島県)

【継続】岸壁
岩国基地(243億円、山口県)

【継続】新滑走路建設、家族住宅、家具倉庫、アスレチック・ジム(設計)

【新規】桟橋(設計・工事)、駐機場(設計)、整備用格納庫(同)、航空部品倉庫(調査)、装備品工場(同)
佐世保基地(13億円、長崎県)

【継続】体育館、球技運動施設、消防署、放送施設、岸壁(調査・工事)
横瀬貯油所(約5億円、同)

【継続】船艇整備施設(設計・工事)
立神港区(30億円、同)

【継続】艦船工場
針尾住宅地区(1億円、同)

【継続】家族住宅
キャンプ・シュワブ(2億円、沖縄県)

【継続】装備品倉庫、司令部棟、車両工場(調査・設計)
キャンプ・ハンセン(24億円、同)

【継続】体育館、野球場、教育施設、装備品工場、廃棄物倉庫、司令部棟
キャンプ・コートニー(487万円、同)

【新規】プール(調査)
嘉手納基地(41億円、同)

【継続】家族住宅、送油管、中学校、宿泊施設、司令部棟、航空機整備施設(設計・工事)

【新規】厚生施設(調査)
キャンプ瑞慶覧(42億円、同)

【継続】体育館、郵便局、営繕工場、倉庫、司令部棟、歯科診療所(調査)
ホワイトビーチ(29億円、同)

【継続】桟橋、船艇工場(設計)
牧港補給基地(1億円、同)

【継続】郵便局(調査)、消防署(同)、車両工場(同)、食品倉庫(同)、可燃物倉庫(調査・設計)

【新規】営繕工場(調査)、車両工場(同)
那覇軍港(18億円、同)

【継続】岸壁改修、司令部棟(調査)
陸軍貯油施設(4億円、同)

【継続】係留施設、橋りょう(設計・工事)
硫黄島通信所(3億円、東京都)

【継続】模擬甲板灯火施設、士官・下士官宿舎(設計・工事)、食堂(同)

【新規】揚油施設・送油施設(調査)

(注)金額は四捨五入。【新規】は04年度予算に新たに盛り込まれたもの。【継続】は前年度から継続しているもの。カッコ内で説明のないものは、すべて建設。
(防衛施設庁「概算要求積算内訳書」と、同庁の説明をもとに作成)

施設建設――
原子力空母用の埠頭も
地図
思いやり」予算によって米軍横須賀基地に建設中の施設(矢印で示した部分)を紹介する米軍作成の地図(米軍ホームページから)

 在日米軍は、昨年のイラク戦争にも横須賀基地の空母キティホーク戦闘群や三沢基地のF16戦闘機部隊などが参加しました。そうした地球規模での軍事作戦を支える施設の強化が、〇四年度の「思いやり」予算でも相次いで進められています。

 横須賀基地では、将来の原子力空母配備もにらんだ十二号バース(埠頭)の延伸工事が〇五年度完成を目指し、引き続き実施されています。

 昨年、最新鋭の空母艦載機FA18スーパーホーネットが配備された厚木基地では、旧海軍時代の建物を使っていた整備用格納庫を新しく建て替える工事が進んでいます。

 三沢基地では、民間航空会社や自衛隊も使用しているため、米軍が「混雑する」として要求した第二滑走路の調査費を計上。全長三千メートルの滑走路を想定し、〇二年度から始まっている調査は〇四年度に終了する予定で、今後、設計・建設に進む方針です。

 沖縄の海兵隊を乗せて敵地に殴り込む強襲揚陸艦部隊の母港である佐世保基地では、米側の「狭い」という不満に応え、艦船部品工場を二倍以上の大きさに建て替える工事を進め、〇四年度に完成予定です。

 攻撃型原子力潜水艦や強襲揚陸艦が寄港するホワイトビーチでは、桟橋の拡幅工事が〇四年度完成を目指して進行中です。拡幅によって艦船への物資の積載が「スピードアップできる」(防衛施設庁)としています。

 沖合への基地拡張=新滑走路建設(岩国基地)、駐機場(三沢基地など)、管制塔(キャンプ座間)、貯油施設(吾妻倉庫地区、鶴見貯油施設)、司令部棟(キャンプ・シュワブなど)などの建設も進める予定です。

 このほか、米兵の家族住宅七百九十八戸(前年度からの継続分も含む)をはじめ、アスレチック・ジム、野球場、プール、消防署、小学校、中学校、独身下士官宿舎、郵便局、歯科診療所といった施設の工事費や調査費も盛り込まれ、いたれりつくせりです(別表)。

訓練費――
給食費だけで2400万円

 「思いやり」予算には、厚木基地に駐留している空母艦載機が硫黄島で実施する夜間離着陸訓練(NLP)の費用も含まれています。

 高額なのは、飛行経費(一億七千万円)。FA18戦闘攻撃機一機が厚木―硫黄島間を往復する飛行経費として一時間あたり五十一万円を見積もり、同機の訓練だけで年間七千万円(十六機×三回)も計上しています。

 このほか、同島で使う電気代(七百四十三万円)、廃油の処理費(百二十四万円)、給食費(二千三百九十四万円)、電話代(六十二万円)といった費用まで負担しています。

 給食費では、訓練一回あたり四千十一食の提供を想定し、一食あたり最大二千百五十七円を支払います。

水光熱費――
電気代だけで158億円

 在日米軍が使う電気やガス、上下水道、軽油、灯油、プロパンといった水光熱費も支払っています。

 最大なのは電気代で、総額百五十八億円。嘉手納基地だけで二十九億円を負担します。横須賀基地で十九億円、横田基地で十四億円、キャンプ瑞慶覧(ずけらん)と三沢基地で各十二億円と続いています。

労務費――
従業員の制服まで

 米軍基地で働く基地従業員の給与など労務費も負担しています。

 このなかには、基地従業員の各種手当や社会保険料、健康診断費のほか、永年勤続表彰費(一千万円)や米軍が貸与する制服費(三億円)も含まれています。

 米軍が貸与する制服の品目は九十九品目。この中には、ピストルベルトや弾入れ、警棒つりのほか、ちょうネクタイ、タキシード、ネクタイピン、コック用帽子といったものも含まれています。


写真
「思いやり」予算で建設された米軍・池子住宅地区の家族住宅(米海軍横須賀基地ホームページから)
写真
「思いやり予算」で建設された施設。左上と右上は、航空機の整備用格納庫(厚木基地)、下は耐爆シェルター(三沢基地)=米軍ホームページから(2000年当時)

グラフ


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