2004年4月3日(土)「しんぶん赤旗」
日本経済の主役である中小企業向け予算の一・四倍にも膨れ上がっている在日米軍への「思いやり」予算――。二〇〇四年度の内容は、国民の暮らしには冷たく、米軍には「思いやり」を尽くす小泉・自公政権の実態を改めて明らかにしています。
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施設建設―― 原子力空母用の埠頭も |
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在日米軍は、昨年のイラク戦争にも横須賀基地の空母キティホーク戦闘群や三沢基地のF16戦闘機部隊などが参加しました。そうした地球規模での軍事作戦を支える施設の強化が、〇四年度の「思いやり」予算でも相次いで進められています。
横須賀基地では、将来の原子力空母配備もにらんだ十二号バース(埠頭)の延伸工事が〇五年度完成を目指し、引き続き実施されています。
昨年、最新鋭の空母艦載機FA18スーパーホーネットが配備された厚木基地では、旧海軍時代の建物を使っていた整備用格納庫を新しく建て替える工事が進んでいます。
三沢基地では、民間航空会社や自衛隊も使用しているため、米軍が「混雑する」として要求した第二滑走路の調査費を計上。全長三千メートルの滑走路を想定し、〇二年度から始まっている調査は〇四年度に終了する予定で、今後、設計・建設に進む方針です。
沖縄の海兵隊を乗せて敵地に殴り込む強襲揚陸艦部隊の母港である佐世保基地では、米側の「狭い」という不満に応え、艦船部品工場を二倍以上の大きさに建て替える工事を進め、〇四年度に完成予定です。
攻撃型原子力潜水艦や強襲揚陸艦が寄港するホワイトビーチでは、桟橋の拡幅工事が〇四年度完成を目指して進行中です。拡幅によって艦船への物資の積載が「スピードアップできる」(防衛施設庁)としています。
沖合への基地拡張=新滑走路建設(岩国基地)、駐機場(三沢基地など)、管制塔(キャンプ座間)、貯油施設(吾妻倉庫地区、鶴見貯油施設)、司令部棟(キャンプ・シュワブなど)などの建設も進める予定です。
このほか、米兵の家族住宅七百九十八戸(前年度からの継続分も含む)をはじめ、アスレチック・ジム、野球場、プール、消防署、小学校、中学校、独身下士官宿舎、郵便局、歯科診療所といった施設の工事費や調査費も盛り込まれ、いたれりつくせりです(別表)。
訓練費―― 給食費だけで2400万円 |
「思いやり」予算には、厚木基地に駐留している空母艦載機が硫黄島で実施する夜間離着陸訓練(NLP)の費用も含まれています。
高額なのは、飛行経費(一億七千万円)。FA18戦闘攻撃機一機が厚木―硫黄島間を往復する飛行経費として一時間あたり五十一万円を見積もり、同機の訓練だけで年間七千万円(十六機×三回)も計上しています。
このほか、同島で使う電気代(七百四十三万円)、廃油の処理費(百二十四万円)、給食費(二千三百九十四万円)、電話代(六十二万円)といった費用まで負担しています。
給食費では、訓練一回あたり四千十一食の提供を想定し、一食あたり最大二千百五十七円を支払います。
水光熱費―― 電気代だけで158億円 |
在日米軍が使う電気やガス、上下水道、軽油、灯油、プロパンといった水光熱費も支払っています。
最大なのは電気代で、総額百五十八億円。嘉手納基地だけで二十九億円を負担します。横須賀基地で十九億円、横田基地で十四億円、キャンプ瑞慶覧(ずけらん)と三沢基地で各十二億円と続いています。
労務費―― 従業員の制服まで |
米軍基地で働く基地従業員の給与など労務費も負担しています。
このなかには、基地従業員の各種手当や社会保険料、健康診断費のほか、永年勤続表彰費(一千万円)や米軍が貸与する制服費(三億円)も含まれています。
米軍が貸与する制服の品目は九十九品目。この中には、ピストルベルトや弾入れ、警棒つりのほか、ちょうネクタイ、タキシード、ネクタイピン、コック用帽子といったものも含まれています。
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