日本共産党

2004年4月4日(日)「しんぶん赤旗」

うその証拠でイラク攻撃

米国務長官認める

生物兵器施設の所有 信頼性欠く情報


  パウエル米国務長官は二日、イラク戦争開戦前の昨年二月に国連安保理で「(イラクは)国連を欺いている」として示した「証拠」の重要部分である「移動式生物兵器開発施設」についての説明が誤っていたことを認めました。国連での同長官の演説は、米国がイラク戦争の正当化をはかり米国内外の世論づくりのためにおこなったもの。それがうその情報に基づいていたことを証言者本人が認めたことは、この戦争が大義のない無法なものだったことを改めて示しています。

 パウエル長官は、昨年二月五日の安保理で、「イラクは少なくとも七台の移動式生物兵器開発施設を所有している」と述べました。同長官はブリュッセルでの北大西洋条約機構(NATO)外相会議参加後、ワシントンに帰る機内で記者団に対し、この情報が信頼性を欠いていることを認め、「国連への説明を準備していた際には、この情報の根拠は確かだと思われたが、現在、その情報は確たるものではないようだ」と語りました。

 移動式生物兵器開発施設は米国が「発見した」としてパウエル氏が示した「証拠」でした。この「証拠」は当時から国際世論からは疑わしいものと批判されていましたが、米国内世論を「説得」する要因となりました。

 米イラク調査グループ(ISG)のケイ前団長は昨年十月の報告で、移動式生物兵器プログラムをイラクがもっていたかどうか分からない」と語り、今年一月二十八日の上院軍事委員会では、イラクには「大量破壊兵器はなかった」と証言しています。

 パウエル長官は、「私はいくつかの情報源に基づくものであることを確認した」と弁明しつつも、「もし今、その情報源が崩れ去ったとすれば解明しなくてはならない」と語り、大量破壊兵器情報についての超党派の独立調査委員会での調査を希望しました。


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