日本共産党

2004年4月5日(月)「しんぶん赤旗」

障害児学級廃止構想

心通う担任なくさないで

父母の不安広がる


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「障害児学級なくさないで」と尾中さんが書いた手紙と、都にたいする保護者の質問

 文部科学省がすすめる「特別支援教育」構想で、小中学校に設置されている障害児学級が廃止されようとしています。子どもが成長し、自信がもてるようになった。そんな障害児学級をなくさないでください―。父母の不安と運動が広がっています。

 国につづいて東京都が昨年十二月に発表した「これからの東京都の特別支援教育の在り方について」では、障害児学級を廃止し、障害をもつ子どもは地域の通常学級に在籍しながら、必要な時間「特別支援教室」に通うことになります。そして通常学級の教員が担任になり、「特別支援教室」には安定した担任の保障はありません。

 東京・江戸川区立小学校の障害児学級の保護者、尾中清子さん(38)は、不安でいっぱいです。小学校六年生になる息子は、知的障害のため、障害児学級に通っています。

だれが責任をもつのですか

 「うちの子の場合通常学級ですごせる時間は限られています。都の説明会では、支援教室にずっといてもいいといいます。でも、担任はあくまで籍のある通常学級の先生。だれが子どもに責任をもつんですか」

 最初は通常学級に通わせたいと思いました。

 「おとなしい子だから、席に座りつづけることはできる。でも、授業内容がわからないままお客さんというのはかわいそうだと思いました。障害児学級のなかで、自信も出て、楽しく通えるようになったんです」

 一度パニックになると、何カ月も立ち直れなくなるほど敏感な子。親と密に連携し、子どもの心を開き、心を通わせる担任の存在が大事だといいます。

 松岡恵美さん(29)は、自閉症と知的障害をあわせもつ小学校三年生の男の子を育てています。

 小さいときは、すぐいなくなり、目が離せませんでした。わが子を理解できず自信を失ったこともありました。

 「ゆっくりと時間をかけて、ていねいに子どもを指導してくれる障害児学級で、子どもは落ち着いてきました。安定した学級がこの子には必要です」

 松岡さんたちは昨年、都の計画を知ったときから、他の障害児学級の父母にもよびかけて「私の意見」を八十人分集め都に提出したり、「学級をなくさないで」「障害児教育を充実して」と求める署名を集めたりしてきました。

 「説明会では障害児学級はお金がかかる。今より予算は増やせないといわれました。未来を支える子どもの教育にしわよせするのは許せない」と松岡さん。

障害にあわせた選択肢が必要

 尾中さんも「障害児学級には、通常学級で居場所がなくなったADHDやLDの子も通ってきています。固定学級に籍を置く子もいれば、通常学級に籍をおいて支援教室で学ぶ子もいる、障害にあわせて選択肢があるように充実させてほしい」といいます。今月保護者から集めた六十六項目の質問を都に送付し、江戸川区の説明会をもう一度開いてほしいと働きかけることにしています。

支援の体制を共産党は主張

 日本共産党は、二月に発表した政策「特別な支援を必要とするすべての子どもたちに豊かな教育を」の中で「必要な人員の増員をおこない、支援の体制をつくる」「障害児学級の廃止計画は中止に」と主張しています。


「特別支援教育」構想

 文科省はこれまで支援体制の確立が、切実な願いとなっていたLD(学習障害)やADHD(注意欠陥多動性障害)の子どもたち(推計六十数万人)を支援の対象とする構想を打ち出しました。問題なのは、これまでの数倍の子どもたちに対象を広げるにもかかわらず、「既存の人的・物的資源の見直し」で対応しようとしていることです。そのため、障害児学級を廃止し、盲・聾(ろう)・養護の障害種別で設置されている障害児学校を「特別支援学校」に一本化するなど、父母にとって大きな不安を持つ「再編計画」がおりこまれています。


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