2004年4月7日(水)「しんぶん赤旗」
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独立行政法人国際交流基金の招待で来日したイラク国立博物館のドニー・ジョージ館長が一日、東京・港区の国際交流基金フォーラムで「二〇〇三年四月イラク国立博物館に何が起こったか」と題して講演しました。
ジョージ館長は、一年前の米英軍によるイラク攻撃開始直後に古代メソポタミア文明の少なくない文化遺産が国立博物館から略奪された事件について話しました。
ジョージ氏は、「われわれは、戦争の一年前に英国のロンドンで何人かのグループがメソポタミアの文化遺産についての会合をもっていたという情報を事前に確認していた」と発言。「そこでは『イラク人はこれらの文化遺産の保存方法も知らず、所有するには値しない』とか、『米軍がバグダッドに入ったら一緒に国立博物館にいって欲しいものを取りたい』などと話し合われていた」と語りました。
また、「実際、館内での略奪や破壊の実態を精査してみて、内部の事情を良く知る者が混じっていたと確信を持っていえる」とのべました。
ジョージ氏は、「略奪が起こったと聞き四月十三日朝、バグダッド市内にあった米軍の中央司令部で海兵隊のザコニ大佐に『博物館を守るよう助けてほしい』と訴えた。彼は、その時、部隊を博物館に派遣しつつあるといったが、『博物館に、何か残したものでもあるのか?』とおかしな質問をした」と語りました。
さらに、「四月十七日、大きなハンマーや短剣、機関銃を持った者など三―四百人が博物館前にいた。玄関から五―六十メートル離れた右側に一台の米軍戦車がいた。館員の一人が米兵に博物館の正面に立って守ってくれと頼んだが、米兵は『すまないが、そういう命令は受けていない』と答えた。群衆が館内に入り破壊を始めた」とのべました。