2004年4月8日(木)「しんぶん赤旗」
民主党は七日、政府の年金改悪法案の対案として、3%の消費税増税となる「年金目的消費税」を盛り込んだ「年金制度改革法案」を決定しました。所得に応じて保険料を納める「所得比例年金」を導入し、それが一定額に満たない人を対象に「最低保障年金」を創設します。九日に国会に提出する方針。
最低保障年金は「所得比例年金の支給額が高齢者等の安定した生活に必要な額に満たない」人に支給され、額は現行の国民年金の満額(四十年加入で月額六万六千円)が「目安」。財源は全額国庫負担で、二〇〇七年度から実施予定の「年金目的消費税」(3%)などでまかないます。
所得比例年金は、国民年金、厚生年金、共済年金を「一元化」し、サラリーマン、自営業者も所得に応じて保険料を納め、保険料総額によって給付水準を決めます。保険料率は現在の厚生年金と同じ年収の13・58%。民間サラリーマンや公務員はそのうち半分を事業主(企業、自治体、国など)が負担しますが、自営業者などは事業主負担がなく、全額負担となれば負担増は避けられません。また、自営業者の「所得把握」のためと称して、「納税者番号制度」を導入します。
政府案に盛り込まれた給付・負担を自動的に決める「マクロ経済スライド」については、「われわれもとらざるをえない」(枝野幸男政調会長)としており、現行の給付水準は、少子化や高齢化などを理由に自動的に切り下げられます。
民主党が「最低保障年金」の財源としている「年金目的消費税」は、所得の低い人ほど重い負担となる生活破壊の不公平税制であり、最悪の福祉破壊税です。消費税を価格に転嫁できない中小・零細業者の営業も破壊するものです。3%とすると、約七兆五千億円もの負担増になります。
一方、消費税を価格に容易に転嫁できる大企業にとって、消費税は、半分を事業主が負担しなければならない保険料と違って、まったく負担になりません。日本経団連や経済同友会などが、「年金財源」を理由に消費税率大増税を主張しているのも、このためです。枝野幸男政調会長らは三月二十五日、日本経団連の岡本康男社会保障委員会年金改革部会長らと会い、同党の法案を説明し、理解を求めています。
政府・与党は、基礎年金国庫負担割合を二分の一に引き上げる「財源確保」を口実に、〇七年度をメドに消費税率引き上げを狙っています。民主党の「年金目的消費税」提案は、政府・与党の動きを事実上後押しするものです。
枝野氏は、年金財源について「足りない分は消費税の負担分も含めて国庫で対応する」とのべており、税率引き上げが3%にとどまる保証はありません。
山岸嘉昭記者