2004年4月8日(木)「しんぶん赤旗」
イラク情勢は一年前の「大規模戦闘の終結」以来、最大の緊迫した局面を迎えています。米軍の武力弾圧が激しくなっているだけでなく、米英軍以外の「有志連合」派遣軍が初めて武力行使に加わり、エルサルバドル、ウクライナなどの軍の兵士が死亡しています。一年前の大規模な戦闘が形を変えて再現する事態に悪化しかねません。
米英軍とその連合軍が敵に回しているのは、米国がサダム独裁政権から「解放」してやるといっていたシーア派の人たちであり、米軍の掃討作戦で激しい弾圧にさらされてきたスンニ派の人たち、つまりイラクの一般国民です。
このことはイラク戦争と占領がイラク国民を支配し、抑圧するものであることを端的に示しています。米軍は武力弾圧を直ちにやめるべきです。
占領軍への抵抗の中心になっているシーア派のサドル師は米国の占領当初から占領反対を鮮明にしてきました。しかし、今では米軍などの武力弾圧が激しさをますなかで、シーア派の他のグループも占領反対の声をあげ、占領への抵抗を続けてきたスンニ派の勢力はその声を強める状況になりつつあります。
事態を打開する道は問題の根本にある米主導の占領を一刻も早くやめ、国連が中心となって主権をイラク人に戻し、平和を回復することにあります。そのために、国際社会は、イラクの事態を悪化させ力によってイラク支配を維持しようとしている米国の横暴を抑えるために力を尽くすことが求められています。
伴 安弘記者