2004年4月8日(木)「しんぶん赤旗」
|
【カイロ=岡崎衆史】イラクで米軍など占領軍がイスラム教シーア派とスンニ派の双方の占領に反対する強硬派に対して武装ヘリや戦車などを用いて力による鎮圧を進めていることに、武装闘争と一線を画してきた他のシーア派勢力やスンニ派、一般の国民からも反発が相次いでいます。鎮圧作戦がもともと占領に反対する国民の結束を招き、抵抗闘争を拡大するとの指摘もあります。
カタールの衛星テレビ・アルジャジーラが現地通信員の話として伝えたところによると、首都バグダッドのアブハニファ・モスクでは六日、スンニ派イスラム教徒による占領軍の武力行使を批判する抗議集会が行われました。同テレビは、バグダッド市内で、学生の抗議デモも行われたと伝えました。
「サドル師支持者だけでなく、すべての国民が立ち上がるだろう。誰も占領など望まないからだ」。英BBCテレビも同日、バグダッドの男性市民の声を放映し、「米国への怒りが広がっている」との現地特派員の声を伝えました。
また、アルジャジーラは六日、イラク人の著名な政治学者ワリド・アルズバイディ氏のインタビューを放映。同氏は、これまでスンニ派トライアングル(イラク中部のスンニ派多数地域)に集中してきた占領への抵抗闘争が南部のシーア派地域に拡大したとして、「(鎮圧作戦への)抵抗がイラク人を一体化させているのは明らかだ」と指摘。その理由として、「イラク人が占領を受け入れるといったことはないし、統治評議会や占領に協力している人でさえ、占領は終わらなければならないと主張している」と述べ、イラク人の根底にある占領への反発が今回の事態で幅広い国民に改めて意識され、国民を抵抗支持に向けている状況を説明しました。
アルズバイディ氏はさらに、イラクにはシーア派同士にも、シーア派、スンニ派間にも対立は存在しないと強調し、サドル師が主張する占領軍が拘束した無実の市民の釈放や表現の自由の保障はイラク人すべての要求でもあると述べました。
シーア派組織のイラク・イスラム革命最高評議会(SCIRI)のハミド・アルバヤティ報道官は六日、英BBCテレビで、米占領当局が、サドル師支持の新聞を発禁処分にした上でサドル師側近を逮捕し、最後はサドル師本人を逮捕すると発表したことが「これらすべての問題を引き起こした」と批判しました。
スンニ派トライアングル イラクの首都バグダッド、ラマディ、ティクリットを結ぶ三角地帯を指します。このなかには米軍が激しい軍事作戦を展開しているファルージャなども含まれます。ティクリットはフセイン元大統領の出身地です。この地域は旧フセイン政権を支えた軍人や官僚を輩出しており、スンニ派住民が数百万人居住しています。