2004年4月9日(金)「しんぶん赤旗」
イラクで邦人三人が拘束されたとの情報を受け、福田康夫官房長官は八日夜、首相官邸に二橋正弘官房副長官、野田健内閣危機管理監、柳沢協二官房副長官補らを緊急に集め、現地とも連絡を取りながら情報収集に当たりました。一方、自民、公明両党は同夜、自民党本部で緊急の対応会議を開きました。
官邸には、外務省の堂道秀明中東アフリカ局長、警察庁の瀬川勝久警備局長も駆け付けました。政府関係者は同日夜、取材に対し「事実関係は確認中」と述べました。
邦人拘束の情報は小泉純一郎首相にも伝えられました。首相は同日夜、外出先から東京・東五反田の首相公邸に戻った際、記者団が「イラクで邦人三人が誘拐されたようだが、どう対応するか」と質問したのに対し、何も答えず無言のままでした。
政府は、イラクで邦人三人が拉致(らち)された事件を受け、ヨルダンで指揮をとるため、逢沢一郎外務副大臣を、九日に成田空港から現地に派遣することを決めました。
福田康夫官房長官が八日夜の記者会見で明らかにしました。
福田長官は、外務省が八日午後六時半に対策本部を設けたほか、首相官邸でも同日午後七時十分に、「在イラク邦人人質事件官邸対策室」を設置したことも明らかにしました。
イラクで日本人三人が拘束されたことが報じられたことを受け、警察庁は八日夜、警備局の幹部らを集めた緊急の会議を開き、情報収集を始めました。同局幹部の一人は「具体的な情報はない。外務省などからの詳しい情報を待っている」などと話しました。
外務省は八日夜、イラクで邦人三人が拘束されたことに関連して「今後も日本人や日本の関連施設がテロの標的となる可能性がある」として、イラクへの渡航を「絶対に見合わせる」よう求めるとともに、在留邦人に対し「安全な方法で直ちにイラクから退避することを改めて強く勧告」する渡航情報を発表しました。