2004年4月10日(土)「しんぶん赤旗」
恐れていたことがついに。自衛隊は撤退を――日本人拘束事件がおきたイラクの事態の展開について、イラク支援にとりくんできたNGO(非政府組織)関係者や識者の談話を紹介します。
今井紀明くんはことし秋から英国北部の大学に留学し、平和学科で勉強したいといっていました。国際紛争の平和的解決の方法を学んで、日本に持ち帰りたいといっていました。
彼らは、白血病のイラクの子どもたちを救いたいとイラクに入ったのです。自衛隊員たちの被ばくも心配して、劣化ウラン弾による健康被害を少しでもなくそうとがんばっていました。危険のある陸路を使ったのは、移動費用を節約して、イラクの子どもたちにその分を医療支援に回そうと思ったからです。
そもそも、アメリカの占領を助けるために自衛隊をイラク派兵したことで危険が高まったのです。
自衛隊派兵が日本のNGO(非政府組織)の人道復興支援活動の妨げになり、NGOを危険にさらす結果になることは、はじめからわかっていたことです。私たちがもっとも恐れていたことがこんな不幸な形で証明されてしまった。
復興人道支援という名目で、イラクに派遣された自衛隊が、イラクの人道復興支援に有害であるという証明であると思います。政府が早く撤兵の英断をすることをもとめます。
私も二月にイラクに入ったので、他人事ではありません。何とか三人を助けたい。
政府が自衛隊をイラクに派兵したことが、民間の支援活動にこんな不幸な形で妨害となったのです。政府は非戦闘地域に自衛隊を派遣するといったけど、行くことが戦闘地域をつくってしまったんです。
政府が自衛隊を撤退させなければ、同じようなことがまた起こる可能性があります。
自衛隊撤退を日本政府に求めるのはもちろんだけど、ほかにもやれることは何でもやりたい。三人は自衛隊の派兵に反対していたんです。イラク人たちの敵ではないことを、犯人に伝えたい。アルジャジーラ(放送局)にメールを送りたいと思います。
テロに屈するなといって、自衛隊派兵することはもうこりごりです。イラク派兵に国民は反対の声をあげたのに、政府が強行した結果、こういう事件が起こったのです。