日本共産党

2004年4月11日(日)「しんぶん赤旗」

イラク戦闘激化

反占領でシーア派とスンニ派が共同


 米英軍の攻撃による首都バグダッド陥落から九日で一年を迎えたイラクでは、旧フセイン政権時代に対立していたイスラム教徒のシーア派とスンニ派の間で、占領軍への抵抗闘争で共同歩調や相互支援の動きが出ています。

 バグダッドからの報道によるとイスラム教金曜礼拝の九日、バグダッド市内のモスク(礼拝所)では、宗派を超えた異例のシーア、スンニ両派合同の礼拝が行われ、約一万人が出席。礼拝所前では、米軍の軍事作戦で負傷したスンニ派教徒のため、多数のシーア派教徒が献血に並びました。

 合同礼拝ではスンニ派指導者のムーヤド・アルアドハミ師が「スンニもシーアも同じ血が流れている。敵の米軍とたたかえ」とよびかけました。

 礼拝後、出席した両派の教徒は並んで「米国は滅びろ」と声をそろえました。

 パリ編集の英字紙インターナショナル・ヘラルド・トリビューン十―十一日付は、「対立するイスラム教徒たちが米国に対し団結してたたかいつつある」と報道。

 同紙のバグダッドからの報道によれば、バグダッド市内では八日、シーア派教徒たちが仲間から寄せられた穀物や小麦粉、砂糖、米などをトラックに山積みにしてスンニ派のモスクに持ちこむ光景があちこちで見られました。

 スンニ派のモスクに集められた食料は、米軍が六日から七日にかけてモスクへの空爆などで激しい無差別攻撃を加えたファルージャ(バグダッド西方約五十キロ)に住むスンニ派教徒への支援物資として送られています。

 ファルージャでは三月三十一日、米国の民間人(元軍人)四人が殺害される事件が発生。米海兵隊が、「反乱武装勢力を掃討する」として住民の家屋やモスクをしらみつぶしに捜索するなど大規模な軍事作戦を展開中です。

 この作戦とそれへの武装勢力の抵抗による戦闘などで住民三百人以上が死亡し、数百人が負傷。医療品や輸血用の血液の供給が底を突いたばかりか、住民は水道や電気も使えず食料不足に苦しんでいると伝えられます。

 イラクでは人口約二千五百万人の97%がイスラム教徒。そのうちシーア派が六割、スンニ派が三割を占めています。

 旧フセイン政権時代には、イラク国内では多数派のシーア派が抑圧されていました。このためシーア派は、米英軍の侵略戦争によるフセイン政権の崩壊を歓迎したと報道されました。

 しかし、一年を経てスンニ派とシーア派が占領軍への抵抗で連帯と協力を始めている状況は、米国主導の無法な占領の正体を明らかにしています。

 宮崎清明記者


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